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松岡敏行コラム

実際に相続担当税理士である松岡敏行が、相続の現場で経験した出来事をコラム形式でご紹介します。
相続の実務ではドラマよりもドラマチックな事が多々あります。

松岡敏行コラム

1話「本当の相続財産」とは…

昨年、私は2件の相続申告を同時進行で受け持っていました。

1件は、遺産総額が5億円を超える大きな案件でした。相続人である弟とは父親の相続がきっかけで何年も音信不通になっていました。相続申告にあたって、弟の戸籍を代理取得したところ、弟は数年前に亡くなっていたことがわかりました。父親の相続がきっかけで疎遠になり、母親の相続の時に弟の死を初めて知ったということに私はとても悲しい気持ちになりました。

もう1件は、金額的には大きな相続ではありませんでしたが、遺された家族は全員亡くなった父親のことを心から尊敬していました。父親の死後は家族で力を合わせて、父親の営んでいた事業を大きくしました。また、申告後には、父親がずっと行きたいと言っていたブラジルへ行き、遺骨をまいたそうです。

たくさんの相続申告に携わってきて感じること―

それは、本当の相続財産とは目に見える財産ではなく、「人」だということです。人は人の心の中に見えない財産を遺します。被相続人の生き様や思いを相続人が受け継いでいくことこそが、本当の相続といえるのではないでしょうか。

2話 10億円を手にした家政婦

10億円を超える資産を有する資産家がいました。 彼の相続人は「姪」1人だけ― 相続が起これば全財産を相続できるということを彼女は知っていました。

実際に相続が起こると、遺言が見つかりました。遺言が書かれたのは相続が起こる1週間前のことで、内容は「全財産を家政婦に相続させる」というものでした。 姪は納得できませんでした。遺言がなければ全財産を自分が相続するはずだったのですから、当然と言えば当然です。彼女は家政婦に対して訴訟を起こしました。彼女には遺留分(民法上相続人に最低限認められる取り分)が認められていないので、訴訟の内容は「遺言の信憑性」です。

裁判の結果、姪の敗訴が確定しました。遺言は公正証書遺言で、信憑性に問題はありませんでした。姪は和解金として手にしたのはたった1,000万円でした。 公正証書遺言の効力を思い知らされた最も印象的な話でした。

3話 ご主人のベッドの横で毎日眠り続けた奥さん

これは、知り合いの心臓外科の教授の話です。教授には医師の親友がおり、過去にその親友に命を救ってもらったことがあったそうです。

ある日、心臓の手術のため、その親友が教授のもとに運ばれてきました。生存率は限りなく低い難しい手術でした。手術の結果、奇跡的に一命をとりとめたもの の、二度と目覚めることのない身体となってしまいました。奥さんはその事実を受け入れられず、植物人間となったご主人のベッドの横で毎日眠り続けました。 驚くべきことに何年も・・・

やがて、2人の息子が私立大学の医学部に入学することとなり、莫大なお金が必要となりました。夫は二度と目覚めないという事実を奥さんが受け入れれば、生命保険金を受け取ることができます。 「息子さんのためにも、そしてあなた自身のためにも、ご主人の死をお認めになって下さい」教授は奥さんを説得し続け、ようやく受け入れていただいたそうです。

「患者が死に向き合う心まで治療できる医師になりたい」と教授は言います。専門家として相続に向き合う心構えを、私は教授から教えてもらうことができました。

4話 地下室の巨大金庫

「これは・・・大きいですね・・・」ある相続税の調査で思わず唸ってしまいました。 場所は被相続人宅の地下1階。目の前には、高さ2メートル以上ある金庫。金庫へ降りる階段は6畳の和室にあります。一見なんの変哲もない部屋ですが、壁のスイッチを押すと和室の畳が開き、地下へと続く階段が現れます。そして、階段を降り、地下通路を進んでいくと、例の巨大金庫が待ち構えているのです。

「開けてください」調査官は当然そう言うのですが、被相続人は相続人にすら金庫の開け方を教えずに突然死してしまったため、誰にも開けることができませ ん。相続人が嘘をついているようには見えないのですが、調査官も「仕方ないですね」と引き下がるわけにはいきません。なんせ目の前に巨大金庫があるのですから・・・

後日、国税局が専門家に依頼し金庫を壊して開けてもらったのですが・・・中には何も入っていませんでした。 実務の世界では想像もしなかったようなことが起こります。

補足ですが、調査でやむを得ず壁をはがしたり金庫を壊したりした場合、後日元通りに直してもらえます。当たり前ですが・・・

5話 高額な結婚指輪は課税されるか?

主人が亡くなったので相続申告をお願いしたい、と依頼を受けた時のことです。相続申告の流れを説明するためにご自宅を訪問すると、奥さんの指にはとても大きくて見たこともないようなダイヤの指輪がはめられていました。

これは税理士としては聞いておかなければならない・・・ タイミングを見計らって、「奥さんその指輪は・・・」と聞くと、亡くなったご主人からの結婚指輪とのこと。その指輪はとても高額なものでした。

ところで、高額な結婚指輪は贈与税の課税対象となるのでしょうか。 原則は「課税対象」となります。ただし、「社会通念上必要な範囲においては非課税」という扱いになります。この「社会通念上必要な範囲」とはどのようなものでしょうか。

一般的には給料の半年分などと言われますが、給料の額は人によって異なります。 例えばイチローのような高額な収入のある人と一般的なサラリーマンの方とでは、「社会通念上必要な範囲」も異なると言えるでしょう。

だから、「社会通念上必要な範囲」とは、その人の所得や職業によって変わる非常にあいまいなものなのです。

よくテレビで芸能人が結婚指輪を公開しているシーンを見かけますが、ついついこれは贈与税の課税対象なのだろうかと考えてしまうのは職業病でしょうか・・・

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