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【雑誌連載】現預金の贈与と不動産投資による相続相談実例!2億3,242万円の相続税が10年で6,000万円に!

2021.01.13

相続対策は以下の手順が必要ですが、私が実際に行った相続対策の実例を見ていただこうと思います。

  • 1.夫婦合計の相続税発生予想額を把握する。
  • 2.資産別の相続対策を考える。
  • 3.できることから実行する。

相談経緯

平成28年3月20日、山田花子様(仮名・70歳)が相談にこられました。花子様は5年前にご主人を亡くされたのですが、花子様自身も資産家の娘であり、資産があったため、ご主人の相続財産は全て同居する長女に相続させました。ところがその長女、未婚のまま早世されてしまったのです。未婚の子が親より早く亡くなってしまった場合、その相続人は親となります。花子様は長女に相続させた財産を思いもよらず相続することとなったのですが、その際、1億円を超す相続税を納めなければならず「今度こそ相続対策について真剣に取り組みたい」と相談に来られたのです。

提案内容

実際に花子様に相続があった場合の相続税の申告書を作成すると、花子様には約2億3,242万円の相続税が発生することがわかりました。財産総額は約7億7,400万円。そのほとんどを4億2,000万円の現預金と3億1,300万円の土地が占めています。これらに財産ついて個別にどのような対策が必要か考えました。 現預金に関しては親族8人に対して贈与する。不動産に関してはすでに活用済みで活用できる土地がなかったため、某有名私立大学近くの土地に学生向け賃貸住宅を建築した場合、どのように相続税が変化するか計算しました。

山田花子様(仮名)相続税額シミュレーション

この度は相続税額シミュレーションをご依頼いただき誠にありがとうございます。私は過去500件以上の相続税の節税アドバイスを行ってまいりましたが、現実を変えるためには以下の順序があります。

Ⅰ 将来の相続税発生予想額を把握する
Ⅱ 相続対策を考える
Ⅲ 実行する


Ⅰ 将来の相続税発生予想額を把握する

今回は山田花子様の相続税額をシミュレーションした結果、現行法で相続税額は約2億3,242万円となりました。

Ⅱ 相続対策を考える

山田花子様の相続財産に占める各財産の割合は以下の通りとなります。

土地 313,327,104円 41%
家屋 31,734,700円 3%
現金預金 420,000,000円 55%
有価証券 4,828,847円 0.5%
その他 4,239,290円 0.5%
合計 774,129,941円 100%

納税資金を贈与で移転するのはもちろんのこと、遺産の40%以上を占める土地を活用するか、新たな不動産投資をするしか相続税を劇的に下げる方法はありません。
不動産投資にはリスクも当然伴いますので、節税効果とリスクを比較し、最大限の財産を次世代に引き継げるよう考えていく必要があるでしょう。

(1)現預金の贈与

山田様の相続財産の特徴は4億2,000万円の現預金です。相続税の限界税率(一番上にかかる税率)は45%ですので、このまま相続までこの現預金を保有されていると最高で45%の税率がかかってしまいます。
現預金の贈与は以下の算式で行うのが基本ですので、非課税の範囲ではなく、ある程度税金を払ってでも生前贈与の速度を速めたほうがいいでしょう。
(算式)贈与税の税率 < 相続税の税率
山田様の場合、子や孫、場合によっては子どもの奥さんも含め、計8人に対して500万円ずつ10年間で4億円、生前贈与を実行すると、支払う贈与税と相続税の差額は以下のようになります。

10年間で支払う贈与税 3970万円 < 節税できる相続税 1憶5475万円

(2)不動産投資

1. 建築による節税効果
A土地にて土地を購入し、収益物件を建築した場合の節税効果は以下の通りです。

資金 相続税評価額
土地 170,000,000円 108,800,000円
建物 169,560,000円 59,000,000円
その他 9,680,000円 0円
合計 349,240,000円 167,800,000円
合計圧縮額 -181,440,000円
遺産総額 相続税額
対策前 733,367,000円 232,426,800円
対策後 551,927,000円 137,770,000円
節税効果 -94,656,800円

2. 資金計画
現預金は前述したとおり、暦年贈与で簡単に相続対策できるため残しておいておかれたほうがいいと思います。
現在はマイナス金利の影響もあり金利も低いため建築資金は借り入れによるほうがいいと思います。

Ⅲ 実行する

10年計画で(1)現預金の贈与と(2)の不動産投資を実行すれば2億3,242万円の相続税は2,000万円以下になります。
(1)の対策では贈与税が約4,000万円発生しますから、実質的な税負担は6,000万円程度になりますが、資産の規模、対策できる時間、不動産投資によるリスク等を考えるとこれぐらいの税負担は仕方ないと思います。

言い換えると、何もしないと2億円以上発生する納税リスクを最小限に抑えるためにある程度のリスクは取るべきだといえるでしょう。
山田花子様は既に収益物件をお持ちで(2)の不動産投資をすると個人の所得税等の負担が増えます。
個人で所有することによる所得税、相続税の負担を考えると「不動産管理会社」の活用を検討されたほうがいいでしょう。

結論

山田花子様の相続税は現預金の親族への贈与と不動産投資により2億3,242万円の相続税が税負担6,000万円以下まで軽減できることがわかりました。結果的に贈与対象者に「息子の奥さんまで入れるのはちょっと…」ということで贈与するのは6人に減りましたが、現在は相続対策として1回目の贈与を行い、不動産投資による建築もすでに着工しています。この例はあくまで山田花子様の場合ですが、ご自身の相続対策を考えられる場合も「どういった行動によりどういった効果があるのか」具体的に計算し、納税リスクと比較して実行する。その慎重さと行動力が必要といえます。

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