いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます!新人のSです。
8月も終盤に入り、朝晩は少しずつ秋の気配を感じるようになってきましたね。残暑に負けず、今月も元気にお仕事を乗り切っていきましょう!
さて、日々の経理や資金繰りと向き合っている経営者の皆様、国税庁の最新発表(令和8年度税制改正:
インボイス経過措置の見直し等)において、
免税事業者からの仕入れに関する経過措置や、特例制度のルールが大きく改定されたことをご存じでしょうか?
「経過措置はいつの取引から切り替わるの?」「2割特例が終わった後はどうすればいいの?」「簡易課税に切り替えるタイミングは?」といった経営者様のリアルな疑問にお応えするため、国税庁の最新資料をもとにプロの視点で徹底解説いたします!
① 【国税庁資料】見直された新しい経過措置(7・5・3割控除)
インボイス制度では、免税事業者からの仕入れ(課税仕入れ)について一定割合の控除を認める経過措置が設けられています。今回の税制改正により、この適用期限が2年間延長された上で控除割合が「7割・5割・3割」へと段階的に見直されることが決まりました。
【国税庁:インボイス経過措置の見直し(7・5・3割控除)より引用】
免税事業者などインボイス発行事業者以外の者から行った課税仕入れにつき、その一定割合を控除できる経過措置について、適用期限を2年間延長した上で、以下のとおり控除可能割合が見直されました。
・80%控除(8割)
・70%控除(7割)
・50%控除(5割)
・30%控除(3割)
※ 令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
② 【重要】取引日ではなく「事業年度(課税期間)の開始日」で判定します!
ここで最も注意すべき実務のポイントは、この見直しが適用されるタイミングです。
今回の改正ルールは、取引日ベースではなく「令和8年10月1日以後に開始する課税期間」から適用されます。そのため、「自社の事業年度(決算期)がいつ始まるか」によって、新しい控除割合へ切り替わる時期が異なります。
決算期ごとの切り替えタイミング例
・3月決算法人の場合
令和8年10月1日時点で進行している期(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)は、期の終わりまで「8割控除」のままです。 改正後の「7割控除」が適用されるのは、令和9年4月1日に開始する事業年度(翌期)からとなります。
・12月決算法人の場合
令和8年10月1日以後に最初に始まる課税期間は「令和9年1月1日」となります。そのため、令和9年1月1日開始の事業年度から「7割控除」へ切り替わります。
・個人事業主(1月1日〜12月31日)の場合
令和8年10月1日以後に最初に始まる課税期間は「令和9年1月1日」です。そのため、令和9年分(令和9年1月1日〜)の確定申告から「7割控除」が適用されます。
「取引ごとに10月1日になればいきなり変わる」のではなく、「自社の新しい事業年度がスタートするタイミングで変わる」と覚えておくのが実務上の正確なルールです。
③ 「2割特例」から「3割特例」への移行と、今後の税負担
インボイス登録によって免税事業者から課税事業者となった小規模事業者向けの負担軽減策「2割特例」についても見直しが行われています。
・「3割特例」の創設
2割特例の適用期間(令和8年分・令和8年9月30日終了期まで等)が終了した後も、納付税額を売上税額の3割とすることができる「3割特例(令和9年分・令和10年分等)」が新たに用意されました。
・税負担のイメージ
売上にかかる消費税が100万円の場合、これまでの2割特例では納付額が「20万円」で済みましたが、3割特例になると「30万円」に増えることになります。段階的に本来の納税額へ近づけていく仕組みになっています。
④ 【具体解説】特例終了後に「簡易課税」へ移行する際の手続きと特例措置
2割特例や3割特例が終わった後、本則課税(原則的な計算方法)に戻ると事務負担や税負担が一気に増えてしまう可能性があります。そこで選択肢となるのが「簡易課税制度」です。
簡易課税制度とは、売上にかかる消費税額に、業種ごとに定められた「みなし仕入率(90%〜40%)」を掛けて納付税額を計算する制度です。
届出書の提出期限に関する「円滑な移行措置」
本来、簡易課税を適用するためには「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで」に「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出しなければならないのが原則ルールです(例:1月1日から使いたいなら前年12月31日までに提出)。
しかし、国税庁では2割特例・3割特例を使っていた事業者がスムーズに簡易課税へ移行できるよう、特別な特例措置を設けています。
【国税庁:簡易課税制度への円滑な移行措置(要旨)】
2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、その適用を受けようとする課税期間の申告期限までに届出書を提出することで、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることが可能です。
つまり、「前の年に届出を出し忘れていた!」という場合であっても、確定申告の期限(個人事業主であれば翌年3月15日、法人であれば期末から2ヶ月以内)までに届出書を確定申告書と一緒に提出すれば、その申告から簡易課税を適用できるという非常に手厚い救済ルールになっています。
これにより、確定申告のギリギリまで「本則課税と簡易課税のどちらが得か」を実際に計算してシミュレーションしてから選択することが可能になります。
-
自社の「経過措置切り替え時期」の確認
自社の決算期をもとに、「いつの事業年度から7割控除へ切り替わるのか」を正しく把握しておきましょう。
-
簡易課税のみなし仕入率の確認
自社の事業(卸売業なら90%、サービス業なら50%、不動産業なら40%など)の「みなし仕入率」を確認し、2割・3割特例が終わった後に簡易課税を選ぶべきか検討を始めておきましょう。
-
会計ソフトの対応状況と設定チェック
事業年度の開始日に合わせて正しく税区分が判定・集集計されるよう、会計ソフトのバージョンや設定を確認しておきましょう。
当事務所では、改正税法(令和8年10月1日以後に開始する課税期間〜)に基づいた「自社の正確な切り替え時期の判定」をはじめ、「2割・3割特例から簡易課税へ移行した際の税額シミュレーション」まで個別に行っております。
「うちの決算期だといつから税額が変わる?」「うちは簡易課税と本則課税のどちらが得なの?」など、疑問をお持ちの経営者様はぜひお気軽に当事務所へご相談ください。最新の税制を正しく活用し、安心して経営に専念できるよう全力でサポートいたします!