相続税には連帯納付義務制度というものがあります。
これは、本来税金を納めるべき人が納付期限を過ぎても納税しない場合、他の相続人等が代わりに相続税を納付しなければならないという制度です。
■相続税の連帯納付義務者
「同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者」が対象となりますので、相続で財産を取得した人は連帯納付義務があることになります。
(相続人だけでなく遺言で財産を取得した第三者なども連帯納付義務の対象者となります)
■連帯納付発生までの流れ
・相続税を滞納している相続人がいる場合、まずは滞納している本人に督促状が送られます。
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・督促から1か月経過しても未納のままとなっている場合には、連帯納付義務者である相続人等に、「完納されていない旨等のお知らせ」が届きます。
(まだ相続税を連帯納付しないといけないわけではありません)
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・お知らせ送付後も納付が行われず、税務署が連帯納付が必要と判断すると、
連帯納付義務者に納税通知書が送付されます。
こうなると連帯納付義務者が代わりに納付しなければなりません。
納付しないままでいると連帯納付義務者の財産が差押となる可能性もあります。
■連帯納付上限額
連帯納付しないといけない額には上限があり、
「当該相続または遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度」としています。
(例)2,000万円相続し、200万円の相続税を納付した相続人
⇒1,800万円が連帯納付の限度額
そのため何も相続していない場合には連帯納付すべき額は生じないこととなります。
■連帯納付額に対する利子税、延滞税
なお連帯納付しないといけない相続税には、既に納付期限を過ぎていることから利子税を加算した額を納付することとなります。
さらに連帯納付の納税通知書送付日から2か月以内に納付しないと、利子税ではなく延滞税を加算した額での納付となります。
令和4年の利子税率は年0.9%なのに対して、延滞税率は年8.7%(本来の納付期限から2か月以内の期間は2.4%)となっています。そのため延滞税での課税になると納税額が大きく増加することとなります。
■贈与税の連帯納付義務
贈与税についても、相続税と同様に連帯納付義務の制度があります。
この場合の連帯納付義務者は贈与者で、贈与した財産の価額が連帯納付の上限額となります。
相続税、贈与税についてはこのように連帯納付義務があるため、
納税者の納税資金対策まで考慮した相続、贈与を行う必要があります。