先日、国税庁より令和4年分の路線価が公表されましたが、地域によっては路線価がつけられていない場合があります。
そのような土地については、路線価を使用しない「倍率方式」により相続税評価額の計算を行うこととなります。
倍率方式の計算式は以下の通りです。
≪固定資産税評価額×倍率=相続税評価額≫
固定資産税評価額については、毎年5月頃に送付される固定資産税課税明細や名寄帳(課税の対象となっている土地・家屋を所有者ごとに一覧表にまとめたもの。市区町村役場で取得可)に記載されていますので、これらの資料から確認できます。
なお相続開始年分の固定資産税評価額を使用しますので、
令和3年中に亡くなった方の相続財産評価をする場合には、申告するのが令和4年中であっても令和3年分の固定資産税評価額を使用することとなります。
倍率については、国税庁HPにて公開されている倍率表から確認します。
実際に八尾市楽音寺を例にして、具体的な確認方法を説明します。
まずは、路線価がない地域かどうか確認します。
路線価図に倍率地域と記載がある、またはそもそも路線価図が存在しない場合には、路線価がない地域であり倍率評価を行うこととなりますので、倍率表を確認していきます。
(以下が楽音寺の路線価図です。西側の一部地域には路線価がありますが、その他は倍率地域と記載されていますので、楽音寺は土地の場所によっては倍率評価が必要な地域であることが分かります)
続いて倍率表を確認します。国税庁HPより評価倍率表のうち該当するものを選択します。
(多くの場合は一般の土地等用を使用するため、今回は一般の土地等用のみ解説します)
なお市区町村ごとに倍率表があるため、その中から八尾市の倍率表を選択していきます。
八尾市の倍率表のうち、楽音寺については以下のようになっています。
ここから評価したい土地が該当する倍率を探していきます。
≪適用地域名≫の欄から評価する土地が該当する場所を参照し、≪固定資産税評価額に乗じる倍率等≫の下に記載されている土地の地目の欄から評価する土地が該当する地目を参照することで、適用する倍率が決まります。
例えば楽音寺の宅地は、2(1)国道170号線(外環状線)沿いにあれば路線価評価、それ以外((2)国道170号線(旧道)沿い、(3)上記以外の地域)にあれば1.1が固定資産税評価額に乗じる倍率となります。
なお≪適用地域名≫の農用地区域とは、市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地のことをいいます。該当するか分からない場合は市区町村役場等で確認できます。
また地目については、評価する土地の現況が該当するものを選択します。必ずしも謄本等に記載されている地目を選択するわけではないことには注意が必要です。
最後に、ここまで令和4年分の資料に基づいて説明いたしましたが、実際には固定資産税評価額と同様に相続開始年分の路線価図、倍率表を使用する必要があります。
令和3年中に亡くなった方の相続財産評価をする場合には、申告するのが令和4年中であっても令和3年分の倍率表等を使用することとなりますので、各資料の年度が一致しているかどうかにもご注意ください。