今回は、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」について解説します。
■概要
子や孫が、父母や祖父母から結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、最大1,000万円まで贈与税がかからない制度です。
現行では令和5年3月31日までの贈与であればこの制度を活用することができます。
■受贈者(子や孫)の要件
受贈者の要件は、①贈与者の直系卑属であること、②贈与時点で18歳以上50歳未満であること、③贈与年の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること、が要件となります。
■非課税金額
受贈者(子や孫)1人につき1,000万円まで非課税となります。
祖父や祖母からそれぞれで1,000万円ではなく、受贈者1人につき合計1,000万円が限度となります。
また、結婚に際して支払う金銭については300万円が限度となります。(300万円は1,000万円の枠内となります)
■結婚・子育て資金の範囲
(1) 結婚資金
① 挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
② 家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)
(2) 子育て資金
①不妊治療・妊婦健診に要する費用
② 分べん費等・産後ケアに要する費用
③ 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など
■贈与税がかかる場合
受贈者が50歳に達した場合には、使い切らなかった金額に対して贈与税がかかります。
■相続税がかかる場合
受贈者が50歳に達するより先に贈与者が死亡した場合には、使い切らなかった金額に対して相続税がかかります。
また令和3年4月1日以降に行った贈与で孫(代襲相続人を除く)が受贈者の場合には、その孫に対する相続税は2割増しになります。
■まとめ
以前取り上げた教育資金の一括贈与と類似の非課税制度であり、教育資金の一括贈与と同様に、金融機関等で財産が管理されるため使い込みの心配なく贈与できる点がメリットであり、手続きが煩雑なことがデメリットとなります。
(必要な都度、必要な結婚子育て資金を贈与しても贈与税はかかりません)
https://matsuoka-kaikei.com/souzoku/blog/963/
子や孫への贈与を考える際は、教育資金と併せて結婚・子育て資金の非課税制度の利用についても併せてご検討ください。