■死亡退職金の原則的な取扱い
死亡退職金はみなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、【500万円×法定相続人の数】までは相続税の課税対象になりません。
また退職金とは別に弔慰金を受け取る場合には、その弔慰金についても以下の金額まで相続税の課税対象にはなりません。
①被相続人の死亡が業務上の死亡の場合
⇒被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
②相続人の死亡が業務上の死亡ではない場合
⇒被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額
■死亡退職金が課税される場合
死亡退職金が課税対象となるのは、まずは上記の非課税限度額を超える死亡退職金を受け取った場合です。
この場合は非課税限度額を超える部分は相続税の課税対象となります。
もう一つは支給額の決定が死亡後3年を超えて行われた場合です。
相続税の課税対象となる死亡退職金は【死亡後3年以内に支給が確定したもの】と定められているため、3年超経過後に支給が確定した退職金は相続税ではなく受け取った遺族の所得税の対象(一時所得)となります。
■支給が確定したものとは?
具体的には【死亡後3年以内に支給が確定したもの】とは、次のものをいいます。
①死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
②生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
上記のように支給額が確定している必要があり、生前退職の場合でも死亡後3年以内に支給額が確定したような場合には相続税の対象となります。
■申告期限までに支給額が決まらない場合
【死亡後3年以内に支給が確定したもの】が死亡退職金となるため、例えば死亡後2年経過してから支給額が確定したような場合には、死亡退職金に該当し相続税の対象となりますが申告期限は過ぎてしまっています。このような場合にはどうすればよいでしょうか?
もし死亡退職金が決まらない場合には、一度死亡退職金を含めずに申告期限内に相続税の申告を行います。そして死亡退職金の支給額が確定してから修正申告を行うこととなります。
なお、このような理由により行う修正申告については延滞税はかかりません。