11月6日、会計検査院が「令和5年度決算検査報告の概要」を公表しました。
↓詳細をご覧になりたい方はこちら(P.580~)
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary05/index.html
相続税関連では、相続等により取得した財産のうち、取引相場のない株式(非上場株式)の評価が検査の対象となりました。
【会計検査院の所見(※抜粋)】
[原則的評価方式]
・純資産価額の計算式等については、昭和53年の改正以降は、その評価額に大きく影響を与える改正は行われていない。
・類似業種比準価額の計算式等についてその評価額が下がる方向で数次の改正が行われている。
→ 原則的評価方式において、各評価方式の間で評価額にかい離が生じていることにより、類似業種比準価額を適用する割合がより高くなる規模の大きな区分の会社ほど評価額が相対的に低く算定されることになり、この状況は評価通達の改正等の影響により拡大したと思料される。
[特例的評価方式(配当還元方式)]
・評価額に大きな影響を与える改正は行われておらず、還元率についても金利等の水準に応じて見直されていない。
→ 配当還元方式の還元率は、社会経済の変化に応じたものとはなっておらず、評価の安全性を考慮しているものであるとしても、近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがある。
このため、これに基づいて算定される評価額は、通達制定当時と比べて相対的に低くなっているおそれがあると思料される。
[まとめ]
・国税庁において、相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価について、異なる規模区分の評価会社が発行した取引相場のない株式を取得した者間での株式の評価の公平性や社会経済の変化を考慮するなどして、評価制度の在り方について様々な視点からより適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要である。