「そろそろ俺も相続対策をはじめないとな」
ある社長がおっしゃいました。93歳でした。最近病院の精密検査で大きな病気が見つかったそうです。
私は今まで500件以上の相続相談に乗ってきました。その相談者のほとんどが「何かあってから」相談に来られます。大きな病気や認知症になったことがきっかけで「相続」というものを意識し始めるのです。
相続対策を始めるべき理想のタイミングは元気なうちです。病気や認知症になってからではありません。
しかし、相続対策の話をするとみなさん「俺はまだまだ元気だから」と言われます。 元気だから、いや、元気なうちに始めないとダメなのです。
今、いわゆる団塊の世代がアラ70(アラウンド70歳)です。事業承継のピークが始まっています。事業承継はリレーと一緒です。ある程度の並走期間が必要です。
先代と後継者がともに走り、経営というバトンを引き継いでいく時間が必要なのです。
私は、相続がきっかけで突然会社を引き継いだ後継者の苦労を幾度となく見てきました。
松岡 「社長、息子さんにはいつ頃事業を引き継がれるおつもりですか?」
社長 「いや~まだまだ」(笑)
『息子さん、もう65歳ですよ・・・』とつっこみたくなる気持ちを抑えて、同族会社の株価計算の資料を鞄にしまいなおした経験が何度もあります。
・人は対策ができるときは何もせず、問題を感じた時は何もできない
「先生、いつから相続対策を始めたらいいですか?」と聞かれたら、迷わず「今でしょ!」と言いたいです。