亡くなられた方が遺言などを残していないケースでは、どの会社の生命保険に入っていたか分からず、生命保険金をもらい損ねる場合もあります。
そのような事態のために、2021年7月から生命保険協会による【生命保険契約照会制度】が始まりました。
これは親などの家族が死亡または認知判断能力が低下し、生命保険契約の有無が分からない場合に利用できる制度で、
各生命保険会社に亡くなった方が保険契約者か被保険者になっている生命保険契約がないかを照会してくれます。
これで生命保険金のもらい忘れを防止できるほか、相続税がかかる財産の申告漏れも防止できます。
相続税額を算出する際は、保険金だけでなく亡くなった方が関わっている生命保険契約については全て確認が必要になります。
それは相続税の対象となるのが保険金だけではないためです。
例えば父が保険契約者(保険料負担者)となり子を被保険者として生命保険契約を締結しているようなケース(子の死亡時に保険金が支払われるケース)です。
このようなケースで父が先に亡くなった場合にはまだ生命保険金は支払われませんが、相続開始時点での解約返戻金相当額に相続税が課税されることとなります。
なぜ保険金を受け取っておらず、まだ解約もしていないのに相続税が課税されるのでしょうか。
もしこの保険契約に相続税が課税されなかった場合、
生前に被相続人が保険料を全額支払っておけば、相続人は保険料を一切支払わずに解約返戻金や満期保険金を受け取ることができるため、
結果として相続税を回避できてしまいます。
その対策として、解約返戻金相当額での課税が行われるのです。
このように被相続人の保険契約を確認することは保険金のもらい忘れや相続財産の申告漏れを防ぐために必要になるので、
亡くなった方の保険に関する手掛かりが全くない場合などは、この制度の利用を検討されてはいかがでしょうか。