バブル期に不動産を使った特殊な節税を封じるため、元国税庁企画官の品川芳宣氏が矢継ぎ早に行った通達が「品川通達」として恐れられたそうですが、今回のタワーマンション節税も「ある一線」を越えたと言えます。
相続税法では「財産評価基本通達」によって財産を評価するように定められています。
みんなが同じ方法により評価することで課税の公平は保たれているのです。
この財産評価基本通達には細かい個別案件については書かれていません。
細かいことまで書いていたらきりがないからです。
今回のタワーマンション節税についてはその財産評価基本通達の「網」の隙間を潜り抜けて、評価の裏をかいた節税方法だったと言えます。
そのような納税者と国税庁のいたちごっこは過去何度も繰り返されてきました。
その度に通達の抜け穴にはツギハギができ、税法が複雑化する一因になっています。
あまり極端な「やりすぎ節税」はお上の怒りを買って封じられる危険性と隣り合わせだという事を納税者は知っておく必要があるでしょう。
「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉があります。
天の網は大きく広く、粗いが悪人を漏らすことはないという意味ですが、課税公平を実現するための税法の理想は「天網恢恢疎にして漏らさず」にあると言えるでしょう。