税理士法人 松岡会計事務所

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松岡会計事務所通信

【Vol.046】2024年11月号

下請法の運用ルールが変わります・手形等のサイト短縮要請(60日以内)について

中小企業庁及び公正取引委員会は、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等を、下請法が規制する「割引困難な手形」等※に該当するおそれのあるものとして指導してきました。

※親事業者は下請事業者に対し下請代金を手形で支払う場合、支払期日までに一般の金融機関で割り引くことが困難な手形を交付すると下請法違反となります。

こうした長期の手形等が下請事業者の資金繰りの負担となっていることなどを踏まえ、サイトが60日を超える手形等が、下請法上の「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とする運用の見直しを公正取引委員会が公表しています。

新たな運用の適用開始時期は令和6年11月1日となっておりますので、令和6年11月1日以降に発行する手形等については、交付から満期日までの期間が60日を超える場合には行政指導の対象となり得ます。

手形払い(サイト60日)の例

※月末締め翌月末手形払いの場合

なお中小企業庁及び公正取引委員会からは、各産業の業界団体や金融機関及びそれを監督する省庁等への要請文の発出や、定期調査においてサイトが60日を超える手形等により下請代金を支払っており短縮する予定はないとした親事業者約600名に対し注意喚起が行われています。

手形等の支払サイトは60日を超えないようご注意ください。

住宅用地特例の除外対象となり得る特定空家等に対する措置状況

平成27年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が全面施行され、特定空き家(倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態や著しく景観を損なっている状態の空き家)に指定された物件には段階的な行政措置が行われるようになりました。

また令和5年12月からは管理不全空き家(管理が不十分で特定空家に発展する可能性がある空き家)も行政措置の対象となりました。

特定空家等に該当すると行政から連絡がありますが、具体的な行動を取るように促す「勧告」に従わない場合には、固定資産税の住宅用地の特例(※)が適用されなくなります。

※住宅1戸当たり200平方メートル以下の住宅用地の固定資産税が6分の1(都市計画税は3分の1)に、200平方メートルを超える部分の固定資産税は3分の1(都市計画税は3分の2)となる特例

このような特定空家等に対して、これまで行われてきた行政指導の措置状況が国土交通省から公表されています。

管理不全空家等及び特定空家等に対する措置状況

※()内は市区町村数

住宅用地特例の除外対象となり得る勧告は累計で約3,600件出されています。

管理不全空家等については勧告は0件ですが、初年度から約1,100件の指導が行われています。

行政措置の合計数も、直近年度では当初の3,000件ほどから2倍近い件数になっています。

空き家をお持ちの方は行政からの連絡には早めの対応を行うようご注意ください。

企業型年金加入者のイデコの拠出限度額が変更されます

令和6年12月(令和7年1月引落分)から、企業型確定給付年金(DB)等の他制度に加入している人(公務員含む)の、個人型確定拠出年金(イデコ)の拠出限度額が、これまでの月額1万2000円から最大2万円へと変更されます。

通常はイデコに拠出できる金額が増えることとなりますが、すでにイデコに加入している人は企業型確定拠出年金(DC)の事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額によってはイデコの掛金の上限が小さくなったり、イデコの掛金の最低額(月額5,000円)を下回り、掛金を拠出できなくなったりする可能性もあるため注意が必要です。

12月以降、確定給付型の他制度(DB等)に加入する場合のイデコの拠出限度額が月額2万円に引き上げられる一方で、イデコの掛金額は「各月の企業型DCの事業主掛金額と確定給付型ごとの他制度掛金相当額(公務員の場合は共済掛金相当額)と合算して月額5万5000円を超えることはできない」こととされています。

つまり、企業年金に加入する者のイデコの拠出限度額は、「月額2万円、かつ、事業主の拠出額(各月の企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)との合計が月額5万5000円の範囲内」となるため、事業主の拠出額が月額3万5000円を超えると、その分だけイデコの拠出限度額が月額2万円から減ることとなります。

例:
企業型DCとDB等の他制度に加入していて、各月の掛金額を合算した額が4万円の場合
月額5.5万円-4万円 = 1.5万円が上限

これにより、企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額によっては、イデコの掛金の上限が小さくなったり、イデコに拠出できなくなる可能性があります。

なお、今回の改正に伴い、DB等の他制度に加入している人のイデコの掛金の拠出方法は毎月定額拠出のみとなりました。

もしイデコの掛金が年単位での拠出となっている人は毎月定額拠出への変更手続が必要となり、切り替え手続きを行わなかった場合はイデコの掛金が拠出停止となってしまいます。

予定納税の11月減額申請(定額減税)

所得税の定額減税の実施に伴う特例により、第1期予定納税分の納期限は例年の納期から約2か月、7月の減額申請期限は約15日の延長がされていました。

だし、これから期限を迎える第2期分の納期限及び11月の減額申請期限については、同特例が設けられておらず、納期限は「12月2日」で、額申請期限は「11月15日」となっていますので納付や申請漏れにご注意ください。

税務調査の選定基準や選定方法

税務調査は法人の決算申告内容、その他各種の情報を分析・勘案して、選定が行われています。法人毎に調査する事業年度の周期が決まっているわけではありません。

その中で、注目されやすい法人は、急激に黒字化した法人です。

また、法人設立以来、調査を行っていない法人については、黒字化したタイミングで、おおよそ設立から5年以内を目途に調査対象とするケースが多いと考えられます。

下記の掲載図のとおり、不正発見割合の高い業種や、不正取引が想定される法人(現金商売中心、本店所在地を転々とする法人、解散・設立を繰り返す法人)等も、継続的に管理したうえで調査選定されています。

不正発見割合の高い10業種(法人税)

順位 業種目 不正発見
割合(%)
不正1件あたりの
不正所得金額(千円)
前年順位
1 その他の飲食 36.2 20,201 5
2 廃棄物処理 29.4 20,328 -
3 中古品小売 28.7 13,520 -
4 土木工事 28.1 16,666 4
5 職別土木建築工事 27.7 18,825 3
6 医療保健 27.6 11,941 2
7 一般土木建築工事 26.8 19,405 9
8 管工事 26.4 16,026 -
9 自動車、自転車小売 25.1 11,737 -
10 美容 25.0 10,791 6

※令和5年11月国税庁発表資料より抜粋

その他、調査部では、継続的(周期的)に調査を行う法人を所掌しており、基本的に黒字申告法人から、調査必要度を判定し調査選定を行っています。

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