【Vol.048】2025年01月号
令和7年度税制改正大綱が公表されました
令和6年12月20日に与党から令和7年度税制改正大綱が公表されました。
これまでは与党が過半数を占めていたため、概ねこの税制改正大綱のとおりに税制改正が行われてきました。
しかし、今回は野党が過半数を占めている状況にあるため、最終的な税制改正の内容が公表された税制改正大綱とは異なる可能性がある点には注意が必要です。
なお令和7年度税制改正大綱の主な改正内容は以下の通りです。
所得税
物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応(103万円の壁への対応)
- 基礎控除を10万円引き上げ58万円とする。(合計所得金額2,350万円超の個人を除く)
- 給与所得控除の最低保障額を10万円引き上げ65万円とする。
- 配偶者控除、扶養控除の対象となる者の合計所得金額要件を58万円以下に引き上げる。(改正前:48万円以下)
- ひとり親控除の対象となる子の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下に引き上げる。(改正前:48万円以下)
- 勤労学生控除の対象となる学生等の合計所得金額要件を85万円以下に引き上げる。(改正前:75万円以下)
- 特定親族特別控除(仮称)を創設する。
※19歳以上23歳未満の扶養親族について、合計所得金額が扶養控除の対象外となる58万円超の場合でも、以下のように一定額の控除を受けられるようになる制度
親族等の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
58万円超 85万円以下 | 63万円 |
85万円超 90万円以下 | 61万円 |
90万円超 95万円以下 | 51万円 |
95万円超 100万円以下 | 41万円 |
100万円超 105万円以下 | 31万円 |
105万円超 110万円以下 | 21万円 |
110万円超 115万円以下 | 11万円 |
115万円超 120万円以下 | 6万円 |
120万円超 123万円以下 | 3万円 |
※上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。
確定拠出年金(企業型DC及びiDeCo)の拠出限度額等の引上げ
- 第二号被保険者の個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額について、企業年金と共通の拠出限度額(現行:月額5.5万円)に一本化した上で、この共通拠出限度額について、月額6.2万円に引き上げる。
- 第一号被保険者の個人型確定拠出年金と国民年金基金との共通拠出限度額(現行:月額6.8万円)について月額7.5万円に引き上げる。
退職所得控除の調整規定の見直し
- 退職手当等(老齢一時金※を除く)の支払を受ける年の前年以前9年(改正前:4年)以内に老齢一時金を受給している場合には、勤続年数等の重複排除調整の対象とする。(退職所得控除を満額利用できない)
※老齢一時金とは確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいいます(iDeCoなど) - 上記の改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払いを受け、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用される。
生命保険料控除の拡充
- 新生命保険料に係る一般生命保険料控除について、23歳未満の扶養親族を有する場合には令和8年分における控除額を最高6万円(現行:最高4万円)に引き上げる。
(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の合計適用限度額は現行の12万円から変更なし)
法人税
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の延長等
- 所得金額が年10億円を超える事業年度について、所得の金額のうち年800万円以下の金額に適用される税率を17%(現行:15%)に引き上げる。
またグループ通算制度の適用を受けている法人については、法人税の軽減税率の特例を適用除外とする。これらの見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。 - 上記の改正は、令和7年4月1日以後に開始する事業年度より適用される。
中小企業経営強化税制の見直し・延長
- 収益力強化設備(B類型)の認定を受けるために必要となる投資計画について、年平均の投資利益率の見込みを5%以上から7%以上に引き上げる。
- 収益力強化設備(B類型)のうち売上高100億円超を目指す中小企業として以下の要件に適合するものに対して、建物が税制の対象設備となる拡充措置を講じる。
※ 拡充措置により取得した建物及び付属設備については取得価額の15%又は25%の特別償却か、取得価額の1%又は2%の税額控除を選択適用できる。
要件
- 売上向上のための施策及び設備投資時期を示した行程表(ロードマップ)を作成していること
- 基準事業年度(経営力向上計画の認定を申請する事業年度の直前の事業年度)の売上高が10億円超90億円未満であること
- 売上高100億円超を目指すための事業基盤、財務基盤及び組織基盤が整っていること
- 売上高100億円超及び年平均10%以上の売上高成長率を目指す投資計画であること
- 次の要件を満たす設備投資を行う投資計画であること
・導入予定の設備が、売上高の増加に貢献するものであること
・経営力向上計画の認定を受けた日から2年以内に導入予定の設備の取得価額の合計額が、1億円と基準事業年度の売上高の5%相当額とのいずれか高い金額以上であること - 生産性の向上に資する設備の導入に伴い建物及びその附属設備の新設又は増設をするものであること
- 投資計画の計画期間中において、給与等の支給額を増加させるものであること
- 上記のほか、売上高100億円超を目指すために必要とされる要件を満たすこと
※ デジタル化設備(C類型)は令和7年3月31日で終了する
※ 上記の措置を講じた上、適用期限を2年延長する。
防衛特別法人税(仮称)の創設
- 法人税額に対し、税率4%の新たな付加税を課す。(課税標準となる法人税額からは基礎控除額として500万円を控除する)
- 上記の改正は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用する。
消費税
外国人旅行者向け免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し
- 免税店が免税対象品販売時に外国人旅行者から消費税相当額を預かり、出国時に税関において持出しが確認された場合に免税店から外国人旅行者に消費税相当額を返金するリファンド方式に見直す。
- 一般物品と消耗品の区分や消耗品の購入上限額(50万円)及び特殊包装を廃止するとともに、免税店が販売する際に「通常生活の用に供するもの」であるか否かの判断を不要とする等の措置を講ずる。
資産課税
固定資産税の課税標準の特例措置の延長等
先端設備等導入計画に基づき中小事業者等が取得する機械・装置等に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、雇用者給与等支給額の引き上げを必須条件とする等の見直しを行った上で、適用期限を2年延長する。
事業承継税制における役員就任要件等の見直し
- 法人版事業承継税制の特例措置における役員就任要件について、贈与の直前において特例認定贈与承継会社の役員等であることとする。(改正前:贈与の日まで3年以上継続して役員等であること)
- 個人版事業承継税制の特例措置における事業従事要件について、贈与の直前において事業等に従事していたこととする。(改正前:贈与の日まで3年以上継続して事業等に従事していたこと)
結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の延長
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
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株式会社吉田精工様は、創業から40年以上、主に大手製鉄所向けの精密ノズル部品を製造しています。
特に切削が難しいとされるステンレスの加工を得意としており、『正確で美しい製品』にこだわり常に研究・創造を重ね続けています。
普段は目に留まることのない製品ですが、陰で皆様を支えているという誇りを胸に今日も複雑な加工に向き合っています。
住所:大阪市鶴見区茨田大宮4-18-12 電話:06-6913-2316
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