【Vol.054】2025年07月号
ふるさと納税・10月からポイントの付与が禁止
令和6年6月のふるさと納税の指定基準(総務省告示)の見直しのうち、寄附者にポイント等を付与するポータルサイト等を通じて市町村等が寄附を募集することの禁止が令和7年10月から適用されます。
現在はポータルサイトを通じてふるさと納税をすると、返礼品とともにポイント等がもらえることも珍しくないですが、ポータルサイト等による寄附に伴うポイント付与競争が過熱していたことを踏まえ、ポイント等の付与をできなくします。
10月1日からの適用なので、各ポータルサイト等の対応にもよりますが、9月末まではポイント等の付与が可能となっているので、返礼品に加えて、ポイントの恩恵も欲しい方は、早めにふるさと納税を済ませることをお勧めします。
11月末までの準確定申告・「基礎控除の見直し等」適用は更正の請求が必要
準確定申告書とは、年の中途で死亡した場合や転勤などにより年の中途で出国する場合に提出する確定申告書のことです。
令和7年度税制改正による基礎控除の見直し等は今年12月1日施行のため、今年11月30日以前に準確定申告書を提出する場合は適用されません。
ただ、今年11月30日以前に同申告書を提出した人が、今年12月1日から令和12年12月2日までに更正の請求を行えば、基礎控除の見直し等の適用を受けることができます。
中小企業融資の変化~事業性評価と事業性融資推進法の意義と展望~
中小企業金融を取り巻く環境が大きく変化しています。
特にポストコロナ期以降、金融庁が推進する「事業性評価」に基づく融資(いわゆる事業性融資)が再び注目されています。
これに伴い令和6年6月に「事業性融資の推進等に関する法律」が成立し、令和8年から施行される予定です。
事業性評価とは何か、その実務的な意義、そして現在議論されている新たな法整備の背景と今後の展望について整理します。
事業性評価とは何か
「事業性評価」とは、融資審査にあたって、財務データに依存せず、企業の事業内容・ビジネスモデル・経営者の能力・市場環境などを総合的に評価する手法を指します。
従来の中小企業融資では、決算書の数字や担保・保証の有無が重視されてきましたが、それだけでは将来性のある企業や地域密着型ビジネスの実力を正当に評価できず、「担保がなければ借りられない」という閉塞感が生まれていました。
事業性評価は、この流れを打破し、企業の「事業の中身」に目を向け、金融機関が経営支援型の関与を深めることを目的とした考え方です。
日本の中小企業金融と評価の実情
事業性評価の理念は広く知られているものの、実際の金融実務ではまだ浸透が限定的です。特に以下の課題が指摘されています。
- 地方銀行や信用金庫の担当者の評価スキルにバラつきがある
- 評価内容が可視化・共有されにくく、属人的になりやすい
- 融資後のモニタリングが弱く、一度限りの評価で終わってしまう傾向がある
とある信用金庫では、事業性評価のために「対話型ヒアリングシート」を独自開発し、営業担当者が経営者の思いや事業計画を深掘りする取組を始めましたが、事務負担の増加や評価レベルの平準化が課題となっています。
一方で、たとえば、赤字決算が続いていたが将来性のある新製品開発を進める製造業に対し、過去の決算に囚われず評価した地方銀行が融資を決定。その後、製品化と販路拡大が進み、経営が好転したというケースもあります。
事業性融資の推進等に関する法律の整備と背景
こうした状況を踏まえ、政府と金融庁は本法律を整備し、金融機関に対して以下のような姿勢を法的に明文化しようとしています。
- 担保・保証に依存しない事業性評価に基づく融資の推進
- 継続的なモニタリングと伴走支援(経営改善支援等)
- 関係構築を目的とした「信用補完」よりも「価値創造」型の支援
「担保や保証だけでない評価を標準化する仕組み」が法律として定められれば、金融現場においても評価プロセスの明確化と透明性が進むと期待されます。
今後の展望と金融機関・事業者に求められる姿勢
今後、事業性評価とその制度化が進めば、金融機関だけでなく中小企業経営者自身にも「評価される準備」が求められるようになります。
企業側が意識すべきポイント
- 自社のビジネスモデル・強み・市場分析を言語化・可視化する力
- 将来の事業計画や資金使途の説明責任
- 財務に現れない「定性情報」(人材、地域貢献、特許、ブランド等)を積極的に提示する意識
一方、金融機関側には、従来の「財務中心のリスク評価」から、「企業の価値創出能力を見抜く目」「経営支援力」の強化が求められます。
担当者の育成、ヒアリング能力、地域経済全体を俯瞰する視点が不可欠です。
信託を活用した新しい融資の仕組み
新法では、「企業価値担保権」の創設にあわせて、「企業価値信託会社(仮称)」の設立・登録制度が盛り込まれました。
従来の中小企業融資は「担保(不動産など)+保証」に依存してきましたが、デジタル事業やスタートアップ、無形資産中心の事業では、目に見える資産を保有していない企業も多いのが現実です。
そこで、新法では、事業性融資において、会社の有形・無形の総合的価値(ブランド、営業権、ノウハウ、顧客基盤など)を信託の枠組みで活用し、金融機関からの融資を受けやすくするための仕組みを織り込んだのです。
具体的には「企業価値全体を“信託財産”として評価・管理し、金融機関が担保権を設定できる枠組み」を導入し、企業が持つ無形資産群をひとつの信託にまとめ、貸し手がその信託財産に対して担保権を有する形にすることで、信用補完に依存しない融資の可能性を拡げることを目的とした仕組みです。

この仕組みにより以下のようなこれまで難しかった案件でも融資ができるという期待が持てるとされています。
スタートアップやサービス業に有効
ソフトウェア会社やブランドビジネス、フランチャイズ事業者など、無形資産中心の企業が資金調達しやすくなります。
地域金融機関の融資審査が柔軟になる
地域密着型金融機関は、地元企業の実情を理解しているが、担保がなく融資に踏み切れなかったケースで「信託型評価+企業価値担保」による支援が可能になります。
M&Aや事業承継にも応用可能
企業価値信託は、後継者や承継時の株式移転における一時的な保全・管理にも活用でき、信託型スキームと事業性評価が連動する新たな事業承継支援にもつながります。
八尾市・10月1日受付開始中古住宅マイホーム取得補助
八尾市では、空家対策の『利活用』の取組みの一つとして、中古住宅の流通促進及び、空家等の発生抑制とともに若年世帯の市外からの転入・定住を促し、賑わいのあるまちづくりを目的とするため、若者や新婚、子育て世帯への中古住宅取得費の一部を補助する制度を実施しています。
※予算がなくなり次第終了となります。リフォームの補助ではありません。
補助対象世帯
中古住宅を取得し、居住する次のいずれかの世帯(補助金交付後5年以上の居住要件あり)
- 2人以上の世帯で全員が40歳未満の世帯
- 18歳以下の子とその親で構成される世帯
補助対象物件
- 自らが居住するために取得する1戸建ての住宅で、建築基準法その他法令に基づき適正に建築されたもの(長屋住宅、共同住宅は対象外)
- 昭和56年5月31日以前に建てられた住宅の場合、耐震性を有していることが確認できるもの
補助金額
住宅の取得に要した費用の10分の1又は、30万円のいずれか少ない方の額
※ただし、次の項目に該当する場合は、それぞれ加算あり
| 加算内容 | 加算金額 |
|---|---|
| 補助対象世帯全員が転入する直前に1年以上継続して市外に居住していた場合 | 50万円 |
| 補助対象世帯が新婚世帯又は義務教育終了前の子(母子健康手帳等で出産予定であることが確認できる胎児を含む。)が1人以上いる場合 | 5万円 |
| 義務教育終了前の子(母子健康手帳等で出産予定であることが確認できる胎児を含む。)が3人以上いる場合 | |
| 補助対象世帯の主たる生計者の職場が八尾市内にある場合 | |
| 空家バンク登録物件を取得する場合 |
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