【Vol.057】2025年10月号
令和7年度地域別最低賃金が発表されました
令和7年度地域別最低賃金が発表され、令和7年10月1日から各都道府県で最低賃金の改定が始まっています。令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に順次発効される予定ですが、都道府県によって適用開始日は異なります。
近畿地方の改定前後の最低賃金及び発効年月日は以下の通りです。
発効年月日以降の労働に対する給与からは改定後の最低賃金が適用されますのでご注意ください。
| 都道府県 | 最低賃金時間額【円】 ※( )内は前年 |
発効年月日 | |
|---|---|---|---|
| 三重 | 1,087 | (1,023) | 令和7年11月21日 |
| 滋賀 | 1,080 | (1,017) | 令和7年10月5日 |
| 京都 | 1,122 | (1,058) | 令和7年11月21日 |
| 大阪 | 1,177 | (1,114) | 令和7年10月16日 |
| 兵庫 | 1,116 | (1,052) | 令和7年10月4日 |
| 奈良 | 1,051 | (986) | 令和7年11月16日 |
| 和歌山 | 1,045 | (980) | 令和7年11月1日 |
「100億宣言」について
10億円という売上の壁を越えることは、中小企業にとって大きな節目です。
しかし、そこに満足せず、さらに高いステージ―― 100億円規模の企業へと飛躍を目指す。そのような“第二成長ステージ”に挑む企業を、国が本気で支援しようとしているのが2025年春からスタートした「100億宣言」です。
これは単なる目標掲示ではなく、志ある経営者が成長戦略を外部に向けて宣言し、補助金や税制、支援ネットワークを活用しながら次のフェーズへ進むための新制度です。
「100億宣言」とは?
経済産業省が主導するこの制度は、年商10億円以上100億円未満の企業が対象です。その企業が、「いつまでに売上100億円を目指すか」、そして「どうやって達成するか」を公に宣言し、専用ポータルサイトで情報を発信する取り組みです。
申請に必要なのは、次の5つの内容です。
- 企業概要(業種、従業員数など)
- 現状の課題と100億円達成の目標年度
- 主な施策(M&A、海外展開、設備投資など)
- 体制や支援機関との連携状況
- 経営者の熱意あるメッセージ
つまり、事業計画の“宣言版”です。税務申告や補助金申請のような煩雑な書類は必要なく、想いと方針があれば、比較的スムーズに申請できます。
宣言すると何が起きる?
この制度のメリットは、「宣言しただけ」で終わらず、具体的な支援メニューに直結している点です。
たとえば、以下のメリットが挙げられます。
- 成長加速化補助金(最大5,000万円)へのエントリーが可能
※100億宣言を行っていることが、申請要件の一つとなっています(2025年度版より明記) - 経営強化税制E類型への申請資格 ※下記に詳述します
- ロゴマーク使用、国の後押しつき広報効果
- 秋以降に予定される経営者シンポジウム等への招待
宣言企業は全国で続々と誕生中
制度開始からわずか数ヶ月で、全国1,500社以上が「100億宣言」を行い、ポータルサイトに掲載されています。
業種別では製造業が最多ですが、IT、建設、物流、医療などあらゆる分野からの挑戦が続いています。
興味深いのは、地方企業の参加率が高いこと。例えば鳥取県では100億宣言ができる規模にある中小企業業数に対する宣言割合が3%を超え、全国平均の約2倍。
地方こそ、こうした「見える化」による外部連携のインパクトが大きいことがわかります。
経営強化税制E類型の活用を忘れずに
「100億宣言」は、補助金だけでなく税制優遇にも直結しています。
とくに注目したいのが、中小企業経営強化税制の「E類型」です。
これは、成長志向を明示した中小企業に対して、設備投資などの支出に対して即時償却や税額控除を認めるという、非常に強力な支援制度です。E類型を活用するためには、以下のような条件を満たす必要があります。
- 「100億宣言」をポータルサイトで公表していること
- 5年以内に100億円の売上を目指す明確な計画があること
- 設備投資が、業務効率化・省力化・成長投資につながること
適用されれば、初年度に全額を費用化できる即時償却、あるいは最大10%の税額控除(中小企業の場合)という大きな恩恵が受けられます。
導入には、経済産業局への事前申請や、認定支援機関からの確認書類の取得などが必要ですが、顧問税理士や認定支援機関と連携すれば、比較的スムーズに活用可能です。
令和8年度税制改正の主な要望項目
令和8年度税制改正について、各省庁からNISA制度の充実化、事業承継税制の承継計画の提出期限の延長、研究開発税制の拡充・延長などが要望されました。
このような税制改正要望を踏まえ、例年なら12月中旬に与党の「令和8年度税制改正大綱」が公表される予定です。
主な税制改正要望
所得税
- NISA制度の充実化
- セルフメディケーション税制の拡充
- 住宅ローン減税等に係る所要の措置
- 食事支給に係る非課税限度額の引上げ
(参考)マイカー通勤手当の非課税限度額の引上げ - 「生命保険料控除制度の拡充※」の恒久化等
※令和8年分所得税の23歳未満の扶養親族を有する場合の一般生命保険料控除枠の2万円の上乗せ措置 - 暗号資産取引に係る課税の見直し(分離課税の導入など)
- 金融所得課税の一体化(デリバティブ取引・預貯金等まで損益通算範囲を拡大)
資産税
- 事業承継税制の承継計画の提出期限の延長
- 医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長
- 教育資金一括贈与非課税制度の延長
- 特定事業用資産の買換え特例の延長
- 中小企業による研究開発投資拡大に向けた特例措置(固定資産税)の創設
- 上場株式等の相続税に係る見直し
- 死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ
- 再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例措置の拡充・延長
法人税
- 研究開発税制の拡充・延長(中小企業、大・中堅企業)
- 大胆な投資促進税制の創設
- 中小企業者等の少額減価償却資産特例の延長
- 地方拠点強化税制の拡充・延長
- オープンイノベーション促進税制の延長・拡充
- カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の2年延長、要件の見直し
- パーシャルスピンオフ税制(スピンオフの実施の円滑化のための税制措置)の適用要件の見直し、恒久化
- 学校法人に係る指定寄附金制度の充実、手続の簡素化
- 地元企業の地域学校協働活動への参画促進に向けた法人税の税額控除の創設
- 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の制度改善(適正化)に伴う所要の措置
- 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃(または課税停止措置の3年延長)
- 海外投資等損失準備金制度の2年延長
- 外国子会社合算税制の「課税範囲」「経済活動基準」「適用免除範囲(税率)」の見直しなど
土地・住宅税制
- 居住用財産の買換え等に係る特例措置の2年延長(所得税・個人住民税)
- 既存住宅のリフォームに係る特例措置の2年延長(所得税・固定資産税)
- 土地の所有権移転登記等に係る特例措置の3年延長(登録免許税)
- 低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置の3年延長(所得税・個人住民税)
- 土地等の譲渡益に対する追加課税制度の停止期限の3年延長(所得税、法人税)
電気・ガス料金、10月から一斉値上げへ
電力大手10社と都市ガス大手4社は9月26日、10月使用分(11月請求分)の電気・ガス料金を発表しました。
政府による電気・ガス代の補助金が9月で終了したことから、各社とも料金が値上がりとなります。
一般家庭の場合、利用が多い電気の「規制料金」は467円から536円の値上げとなります。
たとえば、東京電力は前月より520円高い8,652円、中部電力は507円高い8,322円、関西電力は520円上がって7,791円となっています。
都市ガスについても、東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・西部ガスの4社で172円から222円の上昇が見込まれています。このうち、東京ガスは222円高い5,710円、大阪ガスも同額の222円高で6,261円となります。
政府は電気・ガス料金の負担を軽減するため、夏の冷房利用が増える7月から9月の使用分に対して補助金を支給していました。
その支援が終了したことで、今後は家庭の光熱費だけでなく、企業や個人事業主の経営コストも確実に増加する見込みです。エネルギー価格の動向は、引き続き注意が必要といえるでしょう。
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