土地を売却する場合、売却金額と取得金額の差額(売却益)に譲渡所得税がかかりますが、
相続により取得した土地については、相続税を取得費に加算して譲渡所得税を減額できる特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)を適用できる可能性があります。
■適用要件について
この特例を受けるための要件は以下の通りです。
イ 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
ロ その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
ハ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
要件を満たせば建物や株式の譲渡にも適用できます。
■取得費に加算できる相続税額の計算方法
取得費に加算する相続税額は、次の算式で計算した金額となります。
ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いたもの)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。(譲渡損にはなりません)
なお、譲渡した財産ごとに計算します。
■申告要件について
この特例を受けるためには、所得税の確定申告をする必要があります。
また当初の申告で適用を受ける必要があるため、特例の適用を受けるのを忘れて申告した場合、後から適用を受けることはできません。
そして取得費に加算できる相続税は、期限内申告である必要があります。
申告期限を過ぎて申告(期限後申告)した場合は、たとえ相続税が生じていてもこの取得費の特例を使うことができませんので、ご注意ください。