資産運用の1つとして金の保有を考える方も多いと思います。
金は価値が下がりにくく安定資産としての力を発揮し、過去20年では価値が上がり続けている資産でもあります。
当然、金は相続税の課税対象となり、税務当局も財産の計上漏れがないか特に注視している財産の1つです。
■金の相続税評価額
金の相続税評価額は、相続開始日における1g当たりの業者買取価格で評価することとなります。
例えば、亡くなった日において1g当たり7,000円だった場合において、300g保有していた場合には
7,000円×300g=210万円 の評価額となります。
主な金買取業者ではホームページにその価格が記載されていますので簡単に金額を把握することができます。
■金による節税
金の仏壇や仏具を購入して相続税の節税対策をするという方法が紹介されていたりしますが、リスクが高い方法となります。
確かに仏壇や仏具は相続税法第12条(相続税の非課税財産)で相続税の課税対象とはならないと書かれていますが、
相続税法基本通達12-2(祭具等の範囲)で商品、骨とう品又は投資対象として所有するものは含まれないと書かれています。
相続税の節税対策のために金の仏壇や仏具を購入した場合には非課税と認められない可能性が高いと言えるでしょう。
■金の脱税事件
金の脱税手口としてよくあるのが、自宅に実物の金を隠しておくことです。
金は現金と比べて同じ価値のものでも場所を取らないため財産を隠すには有効であると思われます。
しかし、税務当局は過去の預金の履歴や確定申告の資料などから入念に調査し、場合によっては自宅を訪ねて財産の調査をします。
実際にあった脱税事件では、
父親が所有していた金の延べ棒などを土蔵の床下に隠し、相続税約7億5,800万円を脱税したとして、長野県の会社社長に有罪判決が言い渡されました。
このように節税をしたつもりが余計にお金を支払うこととなってしまいます。
■金地金の支払調書制度
金地金の支払調書は税務署に提出を義務付けられている法定調書の1つです。
1回の取引金額が税込み200万円を超えると、業者が税務署へ支払調書を提出しなければなりません。
したがって、仮に相続財産に金を計上せず税務当局に把握されなかった場合でも、実際に現金化する場合には容易に税務当局は情報を把握できるため、相続財産の計上漏れを指摘される可能性は高いです。
金を使った相続対策は慎重に検討されることをお勧めいたします。