大阪で約1300社の顧問先様と40年以上歩んできた会計事務所です。50名以上のスタッフが「速攻解決力」と「絶対的提案力」で顧問先様をサポートします。

雑誌連載コラム

土地活用ラボ掲載コラム

[第4回]不動産管理会社を使って所得税と相続税のダブル節税対策

[第4回]不動産管理会社を使って所得税と相続税のダブル節税対策

このコラムを読まれているのは不動産オーナーの方が多いと思いますが、収益物件を保有していると「所得税が高い」と感じたことはありませんか?
そこで、「不動産管理会社」を使って所得税を節税しながら相続税を軽減する方法を紹介します。「不動産管理会社」とは自分の所有している収益物件を管理する会社です。所得税は累進税率なので、一人で家賃収入を得ていると税負担が重くなります。そこで収益物件(建物)を法人に移し、その法人から家族みんなに給料(役員報酬)を支払えば、税負担は軽減されるという内容です。
「一人で背負っているお神輿も家族みんなで背負えば軽くなる」というイメージです。

相談経緯

田中実様(仮名・72歳)は不動産収入と年金収入に対し、毎年622万円の所得税と住民税を払っていました。借り入れの返済もあり、こんなに税金を取られてはお金が残らないと日々感じていたところ、私の「不動産管理会社」に関するセミナーを受講され、シミュレーションのご依頼がありました。

提案内容

まず、実様のご子息に法人を設立していただき、その法人に実様の保有している収益物件の一つを売却します。
その後、その法人から実さんの家族に対し役員報酬を支払わせることで所得を分散すると毎年どの程度節税効果があるのかシミュレーションしました。

田中実様(仮名)法人設立提案

【現状】田中実様 個人

不動産所得 1,859万円 家賃収入 3,314万円
年金所得 63万円 年金収入 183万円
合計所得金額 1,922万円
所得控除 139万円
課税される金額 1,783万円
所得税 444万円
住民税 178万円
合計負担額 622万円

法人設立

(1)相続人が出資した法人を設立
(2)法人に「▲▲薬局の建物」を売却(売買金額は730万円・未償却残高)
(3)法人から役員全員(田中実様とその家族)に給料を支払う

【法人設立後】田中実様 個人

不動産所得 1,438万円 家賃収入 2,793万円
年金所得 63万円 年金収入 183万円
合計所得金額 1,501万円
所得控除 139万円
課税される金額 1,362万円
所得税 302万円
住民税 136万円
合計負担額 438万円

上記のとおり、法人設立により田中実様としては所得税と住民税が年間184万円程度の減額ができます。別途法人税が発生しますが年間30万円程度なので年間150万円は節税可能です。また、法人設立の効果は所得税等の節税だけではありません。仮に1億円の賃貸住宅を建築した場合、節税効果が3,700万円以上あることが判りました。言い換えると田中様にとっては1億円の投資ではなく実質6,300万円の投資と言えます。

法人設立によるその他の効果


・田中実様の家賃収入による財産の蓄積を防止することができます。
・法人に売却した収益物件の売却代金(未収債権)を相続人に一斉に贈与できます。
・相続人に役員報酬を支払うことで将来の相続に備え納税資金を確保できます。
・相続の際、相続人に死亡退職金を非課税で支払うことができ、その退職金は全額法人の経費になります。

法人設立には以上のようなメリットもありますが、以下のデメリットもあります。

法人設立によるその他の効果

・法人の設立時に30万円ほどかかります。
・法人に不動産を売却する際一時的に40万円の不動産取得税等が発生します。
・税理士報酬としてランニングコストが年間30万円程度発生します。

まとめ

法人設立をするかどうかは、デメリットを上回るメリットがあるか否かで判断されれば良いと思います。初期投資に70万円とランニングコストが30万円ほどかかりますが、年間150万円節税できれば十分メリットがあるでしょう。

※上記シミュレーションは法人設立による効果についてどの程度効果があるかを概算で計算した参考資料です。

結論

法人設立時に70万円、税理士報酬に年間30万円かかったとしても毎年150万円以上の節税効果があることが分かり、提案した日に早速、法人設立登記のため司法書士を紹介することとなりました。

法人設立には単に所得税を軽減する以外に相続税の対策として以下のような効果もあります。

相続対策の効果

・収益物件の所有権が法人に移るため、家賃収入による財産の蓄積を防止できる。
・分割しづらい建物を法人に売却し、その代わりに売却代金(未収入金でも可)が入ってくるため、生前分割が可能になる。
・相続税の納税資金を相続人に役員報酬として生前移転できる。
・相続の際、退職金を非課税(500万円×相続人の数)で法人から支払わせることができる。

どの程度所得税や相続税が減額できるかは千差万別ですので、実務的には上記のような綿密なシミュレーションを行い、明らかなメリットがありそうなら「不動産管理会社」を設立します。

私は過去数十件、実際にメリットが大きいと判断して「不動産管理会社」の設立をサポートしてきましたが、異口同音に「もっと早くしておけば良かった」とおっしゃいます。あなたもまだ法人をお持ちでないなら検討の余地があるかもしれません。

PAGE TOP

税理士法人松岡会計事務所