1.特定評価会社
特定評価会社とは、その会社の資産の保有状況や営業の状況等からみて、株式の評価に類似業種比準価額を用いることが適当でない会社で次の会社をいいます。
なお、評価会社が次の2以上に該当する場合には、より上位の順位により判定します。
(例:(1)と(4)に該当する場合→(1)清算中の会社に該当)
- 清算中の会社
- 開業前又は休業中の会社
- 開業後3年未満の会社又は比準要素(3要素)がいずれも0である会社
- 土地保有特定会社
- 株式等保有特定会社
- 比準要素数1の会社
2.評価方法
(1)清算中の会社
<算式>
分配見込額 × 課税時期から分配を受けると見込まれる日までの期間(1年未満切上)に応ずる基準年利率による複利現価率
※分配見込額
<算式> 資産 - 負債 - 評価差額に対する法人税等
会社が解散して株主に分配が見込まれる額により評価します。
(2)開業前又は休業中の会社
純資産価額(相続税評価額)により評価します。
開業前、休業中の会社は類似業種の会社が無く、また、配当もほとんどしていないため、類似業種比準価額及び配当還元方式により評価することができません。
(3)開業後3年未満の会社又は比準要素(3要素)がいずれも0である会社
①同族株主等・・・・・純資産価額(相続税評価額)
②同族株主等以外・・・「純資産価額(相続税評価額)」or「配当還元価額」いずれか低い価額
※比準要素とは、類似業種比準価額を算出する際に用いる、「配当金額」「利益金額」「純資産価額」をいいます。
開業後3年未満の会社や比準要素がいずれも0である会社の類似業種比準価額は、著しく低くなる(又は算出できない)ため、純資産価額で評価します。
(4)土地保有特定会社
土地保有特定会社とは、「土地等の価額/総資産価額」が次の会社をいいます。
1.大会社・・・70%以上
2.中会社・・・90%以上
3.小会社
(イ)卸売業 総資産 20億円以上・・・70%以上
(ロ)卸売業以外 総資産 15億円以上・・・70%以上
(ハ)卸売業 総資産 7,000万円以上・・・90%以上
(ニ)小売・サービス業 総資産 4,000万円以上・・・90%以上
(ホ)上記以外 総資産 5,000万円以上・・・90%以上
①同族株主等・・・・・純資産価額(相続税評価額)
②同族株主等以外・・・「純資産価額(相続税評価額)」or「配当還元価額」いずれか低い価額
(5)株式等保有特定会社
株式等保有特定会社とは、「株式等の価額/総資産価額」の割合が50%以上の会社をいいます。
①同族株主等・・・・・「純資産価額(相続税評価額)」or「(S1 + S2)の価額」いずれか低い価額
②同族株主等以外・・・「純資産価額(相続税評価額)」or「(S1 + S2)の価額」「配当還元価額」いずれか低い価額
株式等保有特定会社は、類似の会社よりも株式等を多く保有しているため、類似業種比準価額により評価することができません。
ただし、株式等以外の部分については類似の会社と同様なため、株式等以外の資産部分については、通常の評価額(S1)を計算し、株式等については、純資産価額(S2)を計算することにより、その全体(S1 + S2)を株価評価額とすることができます。
S1とS2の評価方法については別の記事で解説いたします。
(6)比準要素数1の会社
比準要素数1の会社とは、比準要素のうちいずれか2が0であり、かつ、直前々期を基準に計算した比準要素も、いずれか2以上が0である会社をいいます。
①同族株主等・・・・・「純資産価額(相続税評価額)」「併用方式(Lを0.25とする)」のいずれか低い価額
②同族株主等以外・・・「純資産価額(相続税評価額)」「併用方式(Lを0.25とする)」「配当還元価額」のいずれか低い価額
<併用方式>
類似業種比準価額 × 0.25 + 純資産価額 × 0.75
---------------------
|取引相場のない株式についての記事まとめ|
---------------------