みなさん「認知症」になったときの対策はされていますか?
こういうと失礼な言い方に聞こえるかもしれませんが、認知症は高齢者の4人に1人がかかる病気です。
しかし、認知症になったときの「備え」をされている方はほとんどいないのが実情です。
現在、認知症になり正しい判断ができなくなったときに財産を守る手段として「後見制度」というものがあります。
裁判所に信頼できる後見人(親族や弁護士など)を選定してもらい、その後見人が財産のを守っているか、裁判所が監督する制度です。
ただ、この制度はあくまで本人の財産の「守る」ことが目的で、本人の「意思」を反映させることはできません。
そういった社会問題に対応するため新たに制定されたのが「家族信託」という制度です。
家族信託を使えば、認知症になったときでも、自分の思い通りに資産運用が可能です。
「もし私が認知症になったら、自宅を人に貸して、自分の老人ホームの費用をねん出してほしい」と思っている人がいたとします。
後見制度では、その思いを実現することはできません。
後見制度の目的はあくまで財産を「守る」ことで「運用」は目的ではないからです。
しかし、家族信託を使えばその思いを実現することが可能です。
まだ意思表示がしっかりしている時に「私が」「認知症になったら」「長男に」「自宅を賃貸する権限を与える」という信託契約を締結し、事前にその内容を不動産登記しておきます。
実際に認知症になったら長男はその通りに自宅を運用することができます。
ここ数年、このような社会問題に柔軟に対応するための法律が数多く生まれました。
そういった法律を知っておくことは価値のあることだと思います。次回は最新の「民法改正」について解説します。