会社の敷地内に鳥居や祠があるのを目にすることがありますが、このような庭内神し(ていないしんし)(注) を相続した場合には、祠などの設備だけでなくその敷地にも相続税がかかりません。
(注) 「庭内神し」とは、一般に、屋敷内にある神の社や祠等といったご神体を祀り日常礼拝の用に供しているものをいい、ご神体とは不動尊、地蔵尊、道祖神、庚申塔、稲荷等で特定の者又は地域住民等の信仰の対象とされているものをいいます。
相続税法12条第1項第2号では【墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの】には相続税がかからないこととなっているため、祠や鳥居といったものはこれらに準ずるものであることから相続税が非課税となります。
また庭内神しの敷地については、以前は庭内神しそのものではないため課税の対象となっていました。
しかし東京地裁の平成24年6月21日判決にて非課税となったことを受け、以下に掲げる①~③の項目を考慮した上で、【「庭内神し」の設備と社会通念上一体の物として日常礼拝の対象とされているといってよい程度に密接不可分の関係にある相当範囲の敷地や附属設備である場合には、その敷地及び附属設備は、その設備と一体の物として相続税法第12条第1項第2号の相続税の非課税規定の適用対象となる】ものとして取り扱うことに改められました。
①「庭内神し」の設備とその敷地、附属設備との位置関係やその設備の敷地への定着性その他それらの現況等といった外形
②その設備及びその附属設備等の建立の経緯や目的
③現在の礼拝の態様等も踏まえた上でのその設備及び附属設備等の機能面
上記の①~③の要件を総合勘案して非課税となるかが決まるため、税金を安くするために作った祠などは非課税になりませんのでご注意ください。
もし敷地内に祠や地蔵尊などがあれば敷地の一部が非課税になるかもしれませんので、土地の評価をする際は地図だけでなく現地をよく確認することをお勧めします。