賃貸アパートとその敷地(貸家建付地)は、自己利用の土地建物に比べて相続税評価額が減額されますが、
空室がある場合には、賃貸割合(実際に貸し付けている部分の割合)を考慮する必要があり、
空室が多いほどあまり減額できなくなってしまいます。(詳しくは以下の過去ブログ記事をご覧ください)
【財産評価】建物の相続税評価額の算定方法について
【土地評価】貸家を建てると土地の評価額も下がる~貸家建付地の評価について~
この際、一時的な空室については賃貸しているものとして取り扱いますが、
「一時的な空室」とはどこまで認められるのでしょうか。
国税庁からは、主に以下のような事実関係から総合的に判断することが示されています。
①各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
②賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
③空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
④空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
⑤課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか
以上のことから、「継続的に賃貸している物件の空室で、賃借人の募集から入居までの期間が1か月程度」であれば、
一時的な空室と認められるものと考えられます。
ただ空室の期間については「1か月程度」となっていますが、
あくまでも総合的に判断されることとなりますので、1年11ヶ月の空室期間でも一時的な空室と認められた判例(平成20年6月12日裁決)も存在するように、
1か月超の空室期間は一時的な空室に一切該当しないというわけではありません。
しかし5か月の空室期間は一時的な空室ではないとした判例(平成28年10月26日大阪地裁)もありますので、長期の空室期間がある賃貸アパートを評価する際は、賃貸割合をどのように算出するかを慎重に検討する必要があります。