以前のブログにて、貸家となっている建物は相続税評価額が下がることをご説明しました。
このような貸家が建っている土地のことを「貸家建付地」といいますが、
貸家の借主には借家権があり、すぐ退去してもらうことができないため、更地にして売りたくても借主が退去するまで待たなければならない、といった制限が生じます。
そのため貸家建付地に該当する土地は自用地(所有者自身が利用する土地や未利用の土地)よりも相続税評価額を下げることができます。
■貸家建付地の評価額計算方法
貸家建付地の評価額は以下のように計算することとなっています。
【自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)】
自用地評価額の計算方法については以前掲載のブログをご覧ください
・相続税路線価とは?~路線価の調べ方と路線価を用いた土地評価方法~
・【土地評価】路線価がない地域にある土地の評価方法~倍率方式について~
借地権割合は路線価図や倍率表で確認することができ、30~90%の範囲で割合が指定されています。
≪路線価図≫
≪倍率表≫
借家権割合は全国どこでも一律30%となっています。
これらの情報に基づき貸家建付地の評価額を計算していきます。
例えば借地権割合60%の地域にある、自用地評価額1,000万円の貸家建付地については以下のようになります。
【例】
1,000万円×(1-60%×30%)=820万円
このように自用地のまま保有するよりも大きく評価額が下がる結果となります。
■賃貸アパートの敷地の場合
賃貸アパートのように複数の部屋がある貸家が建っている貸家建付地については、
以下のように、その賃貸アパートの賃貸割合(相続開始時に貸し付けられていた部屋数の割合)を考慮して評価する必要があります。
【自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)】
なお建物の評価と同様に、一時的な空室は貸付中であるものとして賃貸割合を計算できます。
貸家を建てると、結果的に建物、土地ともに大きな評価減となりますので、
相続税対策をお考えの際は一度ご検討されてはいかがでしょうか。