以前のブログで、被相続人に著しい虐待等を加えた推定相続人を相続人から除外する「推定相続人の廃除」についてお話しました。
https://matsuoka-kaikei.com/souzoku/blog/1340/
その中で記載しているように、被相続人の兄弟姉妹に対しては推定相続人の廃除ができないこととなっています。
一見すると、「兄弟姉妹はどんなに虐待等をしても相続人から廃除されないので優遇されている」というように見えますが、そんなことはありません。
遺産を相続させたくない兄弟姉妹に対しては、廃除ではなく遺言にそう書くだけで良いのです。
相続人には相続分とは別に、必ず遺産をもらうことのできる権利「遺留分」があります。(詳しくは以下のブログをご覧ください)
https://matsuoka-kaikei.com/souzoku/blog/531/
遺留分がある相続人に「一切遺産は渡さない」という遺言を書いても、遺留分は渡さなければいけませんので、遺産を一切渡さないようにするには廃除の手続きをして相続人から除く必要があります。
しかし、兄弟姉妹は相続人にはなれるものの遺留分が存在しません。
(被相続人との関係性が遠い、基本的には経済的に自立していると考えられること等が理由です)
そのため遺言で「一切遺産を渡さない」とされた兄弟姉妹は、遺留分もないため何ももらうことができなくなります。
このように遺留分がない兄弟姉妹に対しては、わざわざ廃除の手続きをしなくても遺言で同じことができるため、そもそも廃除ができないこととなっているのです。