農家の相続 生産緑地について
こんにちは。 松岡会計事務所のRです。
朝晩は少し涼しくなり、少しずつ季節の変わり目🍂を感じるようになりました。
気が付けばもう、真夏☀の税理士試験から約2か月が過ぎようとしています。
令和元年、2019年は残り98日(早いな・・・)
税理士試験の結果発表までは残り80日(長いな・・・)
受験生✍のみなさんはきっとそう感じるのではないでしょうか。
さて、松岡会計事務所では有難いことに、多数の相続申告をご依頼いただいています。
一口に相続申告とは言っても、
シンプルに自宅と預金のみの方、会社経営をされている方、農業をされている方など様々な方がいらっしゃいます。
今回はその中でも農業をされる方に関係がある「生産緑地」についてお話ししたいと思います。
1.生産緑地の目的と背景
旧生産緑地法が1974年(昭和49年)に制定され、新生産緑地法が1992年(平成4年)に制定されました。
「良好な都市環境を確保するため、農林漁業との調整を図りつつ、都市部に残存する農地の計画的な保全を図る。」
(国土交通省より)
と、あります。
長年、都市計画法に基づいて宅地並み課税を進めたい旧建設省(現国土交通省)と、
都市農地を保全したい旧農林省(現農林水産省)の争いがありました。
当時は農業団体の方が力が強く、宅地並み課税は実現しませんでした。
しかし、バブルの影響で地価が高騰したため旧大蔵省により行われた総量規制の影響により、
新生産緑地法が制度が施行されました。
2.生産緑地とは(生産緑地法第3条)
・市街化区域内の農地で市町村が指定できる。
・良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの.
・500㎡以上の面積
※生産緑地法の一部が改正され、八尾市は平成31年4月1日以降、面積要件が300㎡以上に緩和されました。
・農林業の継続が可能な条件を備えているもの。
3.生産緑地のメリット
・固定資産税が宅地と比べて格段に安くなる。(数百分の1になります。)
・贈与税、相続税の納税猶予を受けることができる。
・農地を残しやすくなる。
※改正による規制緩和により、農作物を用いた商品の製造、販売、加工や、農産物を使用したレストラン施設の設置が可能になりました。
(その部分の税制面での優遇はありません。)
4.生産緑地のデメリット
・農地以外の利用ができない、売却ができない。(農地等として管理しなければならない。)
・納税猶予の適用を受ける場合、生産緑地の指定継続、終身営農が条件となる。
5.生産緑地の指定解除
・主たる従事者が死亡、病気等の理由により従事することができなくなったとき。
・生産緑地として告示された日から30年が経過した場合(2,022年)
6.2,022年問題と特定生産緑地制度
生産緑地は税制優遇がある一方、様々な制約の多さがネックになります。
年齢を重ねるごとに農業を継続していくことも難しくなってくると思います。
さらに2,022年にちょうど指定から30年が経過する年になり、
ほとんどの農地が指定解除になってしまい、大量の農地が流出するため土地の価格が下落する恐れがあります。
これがいわゆる「生産緑地の2,022年問題」です。
税制優遇が無くなれば農業経営は難しいものになり、土地価格の下落や空き地が増加する恐れがあります。
市街化区域農地は年々減少しているため、実際のところはわかりませんが。
ここで登場するのが「特定生産緑地制度」です。
引き続き都市農地の保全を図る為、買取りの申出期間を10年延長できることになりました。
メリット、デメリットは現生産緑地と同じですが、10年ごとに継続の可否を判断できます。
ただし、告示から30年を経過する日(2,022年)までに選択しないと指定できなくなります。
指定しなかった場合激変緩和措置があります。
(内容)
相続税等 すでに納税猶予を受けている場合、次の相続までは、現世代に限り猶予継続
固定資産税等 5年間は一定額を軽減(徐々に負担増)
改正点をまとめると (現行法) (改正法)
(面積要件) 500㎡以上 ➡ 条例により300㎡以上
(設置可能施設) 農業施設 ➡ 製造、加工、販売、レストランも可
(30年経過後) 行為制限解除 ➡ 10年間延長
様々な要素を勘案して慎重に判断しなければならないですね。。。
農家の相続申告も松岡会計事務所におまかせあれ!