税理士法人の業務委託契約書に貼付すべき印紙は?
どうも、新人のFです。
最近は酷暑が続いておりますが、皆様お元気でしょうか。8月も終盤に差し掛かり、夏もあと少しかと思われますので、体調に気を付けてあと少し乗り越えていきましょう。
今回の話とはあまり関係ありませんが、先日大阪府より、医療機関物価高騰対策一時支援金の申請が受付開始になりました。医療機関の方で該当しそうな事業者の皆さんはぜひご確認ください。
早速本題に入りますが、本日は「印紙税」についてお話ししたいと思います。
国税庁によると、「印紙税は、日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金」(国税庁 令和5年5月 印紙税の手引き00.pdf (nta.go.jp))とされており、具体的には、あらかじめ印紙を購入し、事業をする上で生じる契約書や、領収書に印紙を貼付することで納税をする仕組みとなります。しかしながら、納付すべき印紙税の額は一定ではなく、契約書の記載内容や契約金額、受取金額などによって異なります。そのため、納付すべき印紙税額は国税庁が作成する印紙税額一覧表により確認することが必要となります。
印紙税においてよくある迷いやすい事例の中に、「請負契約書」には一体いくらの印紙が必要になるのかというものがあります。本日はこの点をご説明したいと思います。
まず請負契約書は大きく分けて以下の2つの種類に分かれます。
・具体的な成果物(目的物の完成)を条件とするもの(=請負契約)
・具体的な成果物を目的としないもの(=委任契約)
例えば、一般的な工事請負契約は工事を行い、その工事の完成を条件としているため請負契約に該当します。一方で、相談のみを目的とするような顧問契約などは、具体的な成果物を目的としていないため委任契約に該当します。注意しなければならないのは、契約書のタイトルではなく、その契約の実態で判断する為、契約書の内容をしっかり確認しないといけないという点です。なお、委任契約に該当する請負契約書は不課税文書に該当する為、印紙を貼付する必要はありません。
次に、請負契約に該当する請負契約書には「第2号文書」と「第7号文書」の2種類の課税文書が存在し、それぞれ貼付すべき印紙の金額が違うため注意が必要になります。
まず第2号文書とは、請負に関する契約書といい、国税庁によると「当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約」(国税庁HP No.7102 請負に関する契約書|国税庁 (nta.go.jp))とされております。したがって、先ほどご説明したような工事請負契約に係る文書などが第2号文書となります。
一方、第7号文書とは継続的取引の基本となる契約書といい、「特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書」(国税庁HP No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁 (nta.go.jp))を指します。具体的には、継続して報酬を支払うこととなるような売買取引基本契約書がこれに当たります。
ふたつの文書はどちらものよく似ており、なかにはどちらの文書にも該当する契約書もあります。そうなった場合に最終的にどこで判断すればいいのかというと、契約書において「金額が記載されているかどうか」という点になります。
例えば税理士法人で使用される業務請負契約書には、基本的に更新の定めがあり、一見第7号文書のみに該当すると思われがちですが、決算作成に係る報酬金額が記載されている場合、第2号文書として取り扱っても良いとされています。この場合、貼付する印紙が第2号文書の方が低い金額になる可能性が高いため、一般的には第2号文書として取り扱うことが多いです。
このように、印紙税は少し複雑な性質を持ちますが、税務調査で不納付(課税文書に印紙が貼付されていない)が指摘された場合は、本来納付すべき印紙税の3倍の過怠税が課税されますので、しっかりとした印紙税への理解を持つようにしましょう。
以上新人のFでした。