【Vol.011】2021年12月号
国外居住親族に係る扶養控除等の適用について
年末調整や確定申告では、国外に居住する親族も扶養控除等の対象となりますが、控除をするには「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提出が必要です。
国外居住親族に係る扶養控除等の適用について
年末調整において、非居住者である親族(以下「国外居住親族」といいます。)に係る扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除(以下「扶養控除等」といいます。)の適用を受ける居住者は、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」を会社に提出する必要があります。(外国語で作成されている場合には翻訳文も提出する必要があります)
「親族関係書類」とは
「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。
- 戸籍の附票の写しその他の国等が発行した書類(原本)及び国外居住親族のパスポートの写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます。)が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
具体例:戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書など
※一つの書類だけでは国外居住親族が居住者の親族であることを証明することができない場合には、複数の書類を組み合わせることにより、居住者の親族であることを明らかにする必要があります。
「送金関係書類」とは
「送金関係書類」とは次の書類で、居住者が国外居住親族の生活費等に充てるための支払を必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
- 金融機関の書類又はその写しで、為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
外国送金依頼書の控え
- クレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領したこととなることを明らかにする書類
クレジットカードの利用明細書
※クレジットカードの利用明細書とは、居住者本人がクレジットカード発行会社と契約を締結し、国外居住親族が使用するために発行されたクレジットカードで、その利用代金を居住者が支払うこととしているもの(いわゆる家族カード)に係る利用明細書をいいます。
この場合、その利用明細書は家族カードの名義人となっている国外居住親族の送金関係書類として取り扱います。クレジットカードの利用明細書は、クレジットカードの利用日の年分の送金関係書類となります。(クレジットカードの利用代金の支払(引落し)日の年分の送金関係書類とはなりません。)
※注意事項
国外居住親族が複数いる場合には、送金関係書類は国外居住親族の各人ごとに必要となります。例えば、国外に居住する配偶者と子がいる場合で、配偶者に対してまとめて送金している場合には、その送金に係る送金関係書類は、配偶者(送金の相手方)のみに対する送金関係書類として取り扱い、子の送金関係書類として取り扱うことはできません。また、16歳未満の非居住者である扶養親族(扶養控除の対象とならない扶養親族)であっても障害者控除を受ける場合には、親族関係書類及び送金関係書類の提出が必要です。
令和5年1月1日以後については以下のような改正が予定されています。
扶養控除の対象となる扶養親族の範囲から除外される者
30歳以上70歳未満の非居住者(但し、次の者は除く(⇒扶養控除の範囲内となる))
- 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者(留学の事実を証する書類が別途必要となります)
- 障害者
- その適用を受ける居住者からその年において生活費等に充てるための支払を38万円以上受けている者(支払送金を明らかにする書類が必要となります)
12月中に終了する助成金
以下の助成金については12月中が申請締め切りとなっております。申請忘れなどございませんようご注意ください。
①大阪府 第9期飲食店等に対する営業時間短縮等協力金
対象者 | 令和3年10月1日~10月24日までの大阪府の営業時間短縮等の要請に協力する飲食店など |
---|---|
給付額 | 1店舗あたり60万円~180万円(売上高方式による場合) |
申請期間 | 令和3年11月1日から12月13日まで |
②大阪府中小法人・個人事業者等に対する一時支援金
対象者 | 国の「月次支援金(4月から8月のいずれか)」を受給している大阪府内の事業者 |
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給付額 | 中小法人等 :50万円 個人事業者等:25万円(※1事業者に対し1回の支給) (売上50%以上70%未満減の場合。その他の給付額については大阪府ホームページをご確認ください) |
申請期間 | 令和3年11月5日から12月24日まで |
③事業再構築補助金(第4回公募)
対象者 | 思い切った事業再構築に取り組む一定の要件を満たす中小企業等 |
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給付額 | 100万円~従業員数に応じて8,000万円(通常枠) |
申請期間 | 令和3年10月28日から12月21日まで |
今年が終わる前に最後の確認!
(合計所得金額が与える影響)
合計所得 金額 |
適用制度 | どうなる…?? |
---|---|---|
48 万円 |
扶養控除 | 被扶養者の合計所得金額が48万円を超えると 扶養者(本人)の扶養控除が取れなくなります。 |
48 万円 |
配偶者控除 | 配偶者の合計所得金額が48万円を超えると その配偶者(本人)の配偶者控除が取れなくなります。 |
75 万円 |
勤労学生控除 | 本人の合計所得金額が75万円を超えると 勤労学生控除が取れなくなります。 |
133 万円 |
配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額が133万円を超えると その配偶者(本人)の配偶者特別控除が取れなくなります。 |
500 万円 |
寡婦・ひとり親控除 | 本人の合計所得金額が500万円を超えると 寡婦・ひとり親控除が取れなくなります。 |
1,000 万円 |
配偶者控除・ 配偶者特別控除 |
本人の合計所得金額が1,000万円を超えると 本人の配偶者控除・配偶者特別控除が取れなくなります。 |
1,000 万円 |
住宅ローン控除・ 住宅資金の非課税贈与 |
本人の合計所得金額が1,000万円を超えると 床面積40㎡以上50㎡未満の場合の左記の控除適用ができなくなります。 |
1,000 万円 |
教育資金の一括贈与の 非課税特例 |
贈与を受ける者の前年の合計所得金額が1,000万円を超えると 教育資金の一括贈与の非課税特例の要件から外れます。 |
1,000 万円 |
結婚・子育て資金の 一括贈与の非課税特例 |
贈与を受ける者の前年の合計所得金額が1,000万円を超えると 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例の要件から外れます。 |
2,000 万円 |
住宅資金の 非課税贈与 |
贈与を受ける者の当年の合計所得金額が2,000万円を超えると 住宅取得資金贈与の非課税特例の要件から外れます。 |
2,000 万円 |
財産債務調書の 提出義務 |
本人の合計所得金額が2,000万円を超えると 本人の財産債務調書の提出義務の可能性がでてきます。 |
2,500 万円 |
基礎控除 | 本人の合計所得金額が2,500万円を超えると 本人の基礎控除が取れなくなります。 |
3,000 万円 |
住宅ローン控除 | 本人の合計所得金額が3,000万円を超えると 本人の住宅ローン控除適用ができなくなります。 |
合計所得金額とは、確定申告書Bの⑫の金額を指します(確定申告書Aでは⑧)
※令和3年分は番号が変わる可能性があります。
源泉徴収票では「給与所得控除後の金額(調整控除後)」を指します。
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