【Vol.034】2023年11月号
「年収の壁・支援強化パッケージ」が発表されました
現在の税制や社会保険制度では、以下のように一定以上の年収になると負担が増えてしまう「年収の壁」があり、労働者が労働時間を制限しなければならなくなる要因となっています。
年収 | 概要 |
---|---|
103万円 | 本人に所得税が課税される |
106万円 | 従業員数が一定以上の会社で所定労働時間20時間以上、賃金月額8.8万円以上等の要件を満たすと、本人に社会保険の加入義務が生じる |
130万円 | 本人に社会保険の加入義務が生じる |
150万円 | 所得税の配偶者特別控除の金額が段階的に減少する |
上記のうち社会保険に関する106万円の壁と130万円の壁への対策として、厚生労働省から発表されたのが「年収の壁・支援強化パッケージ」です。
具体的には以下のような施策が行われます。
106万円の壁への対応
106万円の壁への対応として2023年10月から「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」が始まりました。以下のような事業主に助成金が支給されます。
(1)手当等支給メニュー
事業主が労働者に社会保険を適用させる際に、「社会保険適用促進手当※」の支給等により労働者の収入を増加させる場合に助成します。
要件 | 1人当たり助成額 | |
---|---|---|
1年目 | ①賃金(標準報酬月額・標準賞与額)の15%以上分を労働者に追加支給(社会保険適用促進手当) | 6か月ごとに 10万円×2回 (大企業は7.5万円×2回) |
2年目 | ②賃金の15%以上分を労働者に追加支給する(社会保険適用促進手当)とともに、3年目以降、以下③の取組が行われること | 6か月ごとに 10万円×2回 (大企業は7.5万円×2回) |
3年目 | ③賃金(基本給)の18%以上を増額させていること(労働時間の延長との組み合わせも可能) | 6か月で 10万円 (大企業は7.5万円) |
申請時期:要件の取組を6か月間継続した後2か月以内
※労働者が社会保険に加入するにあたり事業主が労働者の保険料負担を軽減するために支給するもの。保険料算定の基礎となる標準報酬月額の算定からは除外されます。
(2)労働時間延長メニュー
所定労働時間の延長により社会保険を適用させる場合に事業主に対して助成を行うものです。以下の表の①~④のいずれかの取組を行った場合に、労働者1人あたり中小企業で30万円(大企業の場合は22.5万円)を支給します。
週所定労働 時間の延長 |
賃金の増額 | 1人当たり助成額 | |
---|---|---|---|
① | 4時間以上 | ー | 6か月で 30万円 (大企業は22.5万円) |
② | 3時間以上4時間未満 | 5%以上 | |
③ | 2時間以上3時間未満 | 10%以上 | |
④ | 1時間以上2時間未満 | 15%以上 |
申請時期:要件の取組を6か月間継続した後2か月以内
(3)併用メニュー
(1)と(2)の取り組みを併用する場合には以下のような助成があります。
要件 | 1人当たり助成額 | |||
---|---|---|---|---|
1年目 | 賃金(標準報酬月額・標準賞与額)の15%以上分を労働者に追加支給(社会保険適用促進手当) | 6か月ごとに 10万円×2回 (大企業は7.5万円×2回) |
||
2年目 | 上記の取組を行った上で、以下のいずれかの取組を行う | 6か月で 30万円 (大企業は22.5万円) |
||
週所定労働 時間の延長 |
賃金の増額 | |||
① | 4時間以上 | ― | ||
② | 3時間以上4時間未満 | 5%以上 | ||
③ | 2時間以上3時間未満 | 10%以上 | ||
④ | 1時間以上2時間未満 | 15%以上 |
申請時期:要件の取組を6か月間継続した後2か月以内
130万円の壁への対応
2023年10月以降の扶養認定について、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となります。
なお、あくまでも「一時的な事情」として認定を行うことから、同一の者について原則として連続2回までを上限とすることとされています。
インボイス発行事業者以外の者へ支払った際の仕訳注意点~税抜経理~
インボイス制度では、インボイス発行事業者以外の者(消費者、免税事業者、登録を受けていない課税事業者)から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除を受けることができません。
また税抜経理における仮払消費税等は、仕入税額控除の適用を受ける課税仕入れ等をいうこととされています。
従って、税抜経理方式で経理している場合、インボイス保存がない課税仕入れについては、仮払消費税等として取引対価の額と区分して経理する金額はありません。
但し、経過措置により80%相当、50%相当の仕入税額控除があるため、課税仕入の時期により、仕訳は下記のようになります。
(例:免税事業者が営む飲食店で飲食し11,000円を支払った)
時期 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
R5.10.1~R8.9.30 (80%控除) |
接待交際費 10,200円 仮払消費税等 800円 |
現金 11,000円 |
R8.10.1~R11.9.30 (50%控除) |
接待交際費 10,500円 仮払消費税等 500円 |
現金 11,000円 |
R11.10.1~ (原則) |
接待交際費 11,000円 | 現金 11,000円 |
大阪府肥料価格高騰緊急対策支援事業
大阪府では、肥料をはじめとする農業資材価格の高騰により、生産コストが増加している府内農業者(個人又は法人)の方に、今後も営農を続けていただくため、「大阪府肥料価格高騰緊急対策支援金」を支給します。
対象者
- 大阪府在住で農業の売上が50万円以上(前年の確定申告額等)の農業者
- 大阪府在住で大阪府内市町村の認定を受けた新規就農者(認定新規就農者)
支援内容
販売金額の区分ごとに支給
(販売金額50万円以上~5億円以上それぞれ区分
申請期間
令和5年11月1日から令和5年12月27日まで
主要補助金の申請スケジュール
主要な補助金の次回申請締切日は以下のようになっております。申請をお考えの際はお早めにご準備ください。
事業再構築補助金(第12回)
未発表
ものづくり補助金(第16次締切分)
令和5年11月7日(火)まで
IT補助金
- 通常枠、セキュリティ対策推進枠(8次締切分)
令和5年11月27日(月)まで - デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・12次締切分)
令和5年11月13日(月)まで - デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型・5次締切分)
令和5年11月27日(月)まで - デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型・4次締切分)
令和5年11月27日(月)まで
小規模事業者持続化補助金
令和5年12月12日(火)まで
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