【Vol.030】2023年07月号
災害により被害を受けた場合の税務上の特例措置
日本各地で大雨による災害が続いております。被害を受けられた皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。
今回は、大雨・台風等の災害により被害を受けた場合に、税務上様々な救済特例措置がありますので、その一部をご紹介します。
申告・納付などの期限の延長
災害等の理由により申告・納付などをその期限までにできないときは、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限を延長することができます。
納税の猶予
災害等により財産に相当の損失を受けたときは、所轄税務署長に申請をすることによって次の①・②のとおり納税の猶予を受けることができます。
- 損失を受けた日に納期限が到来していない国税
〈イ〉損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税…納期限から1年以内
〈ロ〉予定納税や中間申告分…確定申告書の提出期限まで
注:〈イ〉〈ロ〉とも災害のやんだ日から2か月以内に申請する必要があります。 - 既に納期限の到来している国税
一時に納付することができないと認められる国税…原則として1年以内
所得税の全部又は一部の軽減(確定申告)
災害により住宅や家財などに損害を受けた場合は、確定申告で1「所得税法」による雑損控除の方法、2「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができます。これら2つの方法には、次表のような違いがあります。
所得税法(雑損控除)
損失の発生原因 | 災害、盗難、横領による損失 |
---|---|
対象資産 | 住宅や家財を含む生活に通常必要な資産(※1) |
所得控除額 又は 所得税等の 軽減額 |
所得控除額は次の①と②のうち、いずれか多い方の金額です。 ①損失額(※2)-所得金額の10分の1 ②損失額(※2)のうちの災害関連支出の金額-5万円 注:「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅や家財などの取り壊し、除去、原状回復費用など災害に関連して支出したやむを得ない費用をいいます。 |
参考事項 | その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間に繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。 |
災害減免法
損失の発生原因 | 災害による損失 | ||||||||
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対象資産 | 住宅又は家財の損失額(※2)が、その価額の2分の1以上である場合 | ||||||||
所得控除額 又は 所得税等の 軽減額 |
軽減額等は次のとおりです。
|
||||||||
参考事項 | 原則として損害を受けた年分の所得金額が、1,000万円以下の方に限ります。減免を受けた年の翌年分以降は、減免は受けられません。 |
(※1)棚卸資産や事業用の固定資産、山林、生活に通常必要でない資産(別荘や競走馬、1個30万円を超える貴金属、書画、骨とう等)は、雑損控除の対象にはなりません。
(※2)資産に生じた損害金額から保険金や損害賠償金などによって補てんされる金額を控除した金額をいいます。
住宅ローン控除の適用期間の特例
災害によって被害を受けたことにより居住の用に供することができなくなった住宅用家屋については、居住の用に供することができなくなった年以後の残りの適用年においても、引き続き、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
適用期間の特例を受けるための手続は、通常の確定申告又は年末調整と同じです。
新たに取得等をした住宅用家屋について住宅借入金等特別控除等の適用を受けるなど一定の場合には、適用期間の特例の適用を受けることはできません。
印紙税の非課税措置
次の①から⑥のいずれかの場合において、その被災をされた方(被災者)が作成する「不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」で、自然災害の発生した日から5年以内に作成されるものについては、印紙税が非課税となります。
(市町村長等から証明(り災証明等)を受ける必要があります)
- 自然災害により滅失した建物又は損壊したため取り壊した建物(滅失等建物)が所在した土地を譲渡する場合
- 自然災害により損壊した建物(損壊建物)を譲渡する場合
- 滅失等建物に代わる建物(代替建物)の敷地のための土地を取得する場合
- 代替建物を取得する場合
- 代替建物を新築する場合
- 損壊建物を修繕する場合
(注)代替建物については、滅失等建物に代わるものであることが、契約書その他の書面において明らかにされている必要があります。
印紙税の非課税措置
自動車検査証の有効期間内に自然災害により被害を受けて廃車となった被災自動車の所有者の方は、運輸支局(自動車検査登録事務所)又は軽自動車検査協会事務所において自動車の永久抹消登録又は滅失・解体の届出の手続を行い、自動車重量税の還付申請書を提出することにより、自動車重量税の還付を受けることができます
還付を受けられる金額
納付した自動車重量税額のうち、車検残存期間(自然災害の発生した日から自動車検査証の有効期間満了の日までの月数)に応じ、以下により計算した金額が還付されます。
【還付金額 = 納付した自動車重量税額 ÷ 車検証の有効期間 × 車検残存期間】
※車検残存期間が1か月以上あるものが還付の対象です。車検残存期間の計算において、1か月未満の日数は切捨てとなります。
「がんばる岸和田」企業経営支援補助金
岸和田市では複数の区分で経営支援のための補助金『「がんばる岸和田」企業経営支援補助金』を支給しています。
区分:人材育成
対象者
市内に営業所、事業所、工場等を有する中小企業者で、同一事業を1年以上行っている者。
対象経費
(ア)研修受講事業
次に掲げる機関が行う経営能力の強化及び技術力の向上を目的とした研修及び講習会を受講させるために必要な受講料及び教材費。
- 中小企業大学校関西校
- 関西職業能力開発促進センター
- 近畿職業能力開発大学校
- 大阪府立高等職業技術専門校
- その他大学や公的機関
(イ)研修開催事業
上記(ア)①~⑤に掲げる機関から講師の派遣を受け、経営能力の強化及び技術力の向上を目的とした研修を開催する事業に係る会場等使用料、講師謝金及び教材費
補助率・上限
2分の1(10万円まで)
申請期限
令和6年2月29日
事業完了期限
令和6年3月10日
区分:デジタル化促進支援
対象者
市内に営業所、事務所、工場等を有する事業者(ただし、大企業を除く)
対象経費
市内に有する営業所、事務所、工場等の事業継続・拡大を見据えたデジタル化・IOT・AI導入により販路開拓、生産性や業務効率向上につながるソフトウェア等導入に係る経費
補助率・上限
2分の1(30万円まで)
申請期限
令和6年1月31日
事業完了期限
令和6年2月29日
区分:創業・起業
対象者
- 市内で創業を予定する個人、創業後5年未満の個人又は設立後5年未満の法人であること。
※ただし、法人化等事業の引継ぎを受けた事業者は受けた先の 事業年数を合算する。 - 本市で創業し(営業所、事務所、工場等を有し)、営利を目的とする事業者であること。
- 岸和田市創業支援等事業計画における特定創業支援等事業による支援を受けているか、岸和田ビジネスサポートセンターKishi-Bizで創業に関する経営相談を受けていること。
- 許認可等を要する事業を営む者については、許認可等を受けていること、または当該許認可を受けることが確実に見込まれること。
- 過去に旧岸和田市創業時販路開拓支援事業補助金及び「がんばる岸和田」企業経営支援事業補助金(区分:創業・起業)の交付を受けていない者
対象経費
展示会、製品(商品)紹介動画、開業時広告宣伝費、法人設立に要する経費、新商品の試作や開発に係る調査、知的財産権の取得及び性能検査に要する経費
補助率・上限
2分の1(10万円まで)
申請期限
令和6年2月29日
事業完了期限
令和6年3月10日
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